3月21日、日米の野球ファンに大きな衝撃が走りました。今年から「ロサンゼルス・ドジャースに移籍し、2月末には結婚を発表し、韓国での開幕戦に出場している大谷翔平選手。その専属通訳の水原一平氏が、違法賭博に関与したという理由で突然、ドジャースから解雇されてしまったのです。
通訳のみならず日常生活の面倒まで公私ともに大谷氏に尽くしてきた水原氏がスポーツ賭博に関わっていたというのは驚きで、日常的な彼の温厚な姿からすると、多くのファンがその意外性に驚いたことと思われます。
少なくとも水原氏がサッカーの違法スポーツ賭博にのめり込み、6憶8,000万円もの支払いを余儀なくされていたということはどうやら事実の様子。
このことを大谷氏が知っていてその支払いを肩代わりしたのか、水原氏が勝手に大谷選手の口座から支払いおこなったのかが、大きな関心ポイントになります。
それもそのはずで、大谷選手が水原氏の違法賭博のことをわかっていて肩代わりの支払いをしたとなると、法的にタダでは済まなくなると言われています。そのため、ここが非常にクリティカルなポイントになってきています。
正確な事実は今後の発表を待つしかありませんが、この話で気になるのは、
ギャンブル依存症というのはそんなに簡単に陥るものなのか?という問題です。
酒・タバコ・悪いおクスリなどは、常習的に利用していれば完全に依存症になることは知られていますし、強度な依存症患者の場合、見るからに様子がおかしいことも理解できます。
では、果たしてギャンブル依存症はどうなのか?ということが気になります。
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターが令和2年に実施した調査では、過去1年間における「ギャンブル等依存が疑われる者」の割合は全体で2.2%(男性3.7%、女性0.7%)となっています。
あくまで疑いのある人間ということではありますが、100人が集まれば2人や3人はギャンブル依存症であることがわかります。
一般的にギャンブル依存症と呼ばれるのは、競馬・パチンコなどの賭け事に対する欲求が抑えられなくなる明確な病気です。国内では「宝くじ」を買わないと気が済まない向きも、ギャンブル依存症とされています。
そもそも賭け事自体は個人の趣味や娯楽の範疇に入りますから、それをはじめただけで病気だとは言えません。
しかし、あまりに熱中して日常生活で経済的な問題や社会的死傷をきたすこともまったく顧みず、ギャンブルに突き進んでしまう状況が顕在化してしまいます。
水原氏はやはりこれに該当しており、大谷選手の唯一無二の通訳という役職をギャンブル依存のおかげであっさりと失うこととなってしまいました。
ギャンブルというのは、のめり込むほどギャンブル自体への執着心が高まると言われています。
そのため興奮を求めて掛け金が大きくなるのがこの病気の定石のようで、結果的に驚くほど大きな掛け金を支払うということが見受けられます。
こうなると自分の力で制御することはできなくなり、ギャンブルを日常的に行っていないと落ち着かないといった、例えばアルコール依存症の人がお酒を飲まないと手が震えるといったことに近い禁断症状も現れるといいますから、恐ろしいことこのうえない状況です。
ギャンブル依存症には一定の治療法も用意されているようですが、なにぶん自己申告に極めて近い状況ですから、病院で見てもらう前に問題を起こしてしまうことがほとんどのようです。
ギャンブル依存症に陥るのはストレスへの対処がうまくいかず、ギャンブルを逃げ道として使ってしまう人が多いようで、若い人とくに男性にそうした傾向がみられるようです。
水原氏の場合は、大谷選手の通訳であることが有名になってから知人にこのスポーツ賭博を紹介されてすっかり罠にはまってしまったという証言も出ています。
順風満帆の人生など無い?
傍で見ているものにとってはドラマの劇的なストーリーであるかのような衝撃的な展開となっていますが、蟻の一穴のようは話から、世の中でもっとも順風満帆に見えた大谷の野球生活がすべからく崩れ去りかねない危険な状況に直面することになるというのも驚きで、人生「一寸先は闇」という言葉をあらためて感じるファンも多いことと思われます。
水原氏は自業自得としても、長年の盟友を大谷選手が単純にばっさり切り捨てて前に進むことになるのか、なんらかのリカバリープランを提示して救済にあたるのか、どうかにも関心が集まるところです。
直近の報道では野球少年だった、大谷選手がさらにドラスティックな対応をとることも示唆されはじめており、刑事告訴だなんだという話になれば、野球を飛び越えた泥仕合にファンをさらに落胆させることなりそうな気配となっています。
疑問が残るのは、大谷選手の口座からの送金だ。ESPNは、水原氏が賭博で作った借金を返すため、大谷選手の銀行口座からブックメーカーの男性側に少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が送金されたと伝えている。米紙ワシントン・ポストによると、違法賭博容疑を巡るブックメーカーに対する捜査の過程で、大谷選手の銀行口座からの送金記録が見つかった。
水原氏はESPNに「昨年、大谷選手のパソコンを使って2人で口座にログインし、50万ドルの取引を8~9回行った」と説明したが、大谷選手は「彼はその時(20日の開幕戦後にホテルに戻って2人で話した際)、僕の口座に勝手にアクセスして、ブックメーカーに送金していたということを僕に伝えた」と明かした。ただ、大谷選手の同意なく、水原氏が大谷選手の口座から送金できた理由は語らなかった。