日本市場全体で、外資の空売り機関の主だった空売り時価総額は8月16日現在で
Barclays Capital Securities 7158億円 モルガン・スタンレーMUFG 6918億円
Deutsche Bank London 6374億円 ゴールドマンサックス 4051億万円
Morgan Stanley & Co 3817億円 メリルリンチ 3082億円
BNP PARIBAS ARBITRAGE 2607億円 J.P.Morgan Whitefriars 2594億円
UBS AG 2588億円 Societe Generale 1762億円 合計4兆951億円 だそうです。この中には自国では空売りは行わず、日本のみを標的にしている機関もあります。その意味では日銀による『ETFの保有残高を年間約3兆3000億円から約6兆円増やすペースで買い入れることを決定』は空売り機関にとって深刻です。数日おきに700億円もの新規買いが継続的に入るのです。しかも金主はお札をいくらでも刷れる輪転機。下記のサイバーダインは空売りファンドの餌食になり、売り込まれていますが、日本の将来を担うであろう介護ロボットを世に送り出す企業。レフト氏本人も『私の見方が間違っていれば、投資家には買いのチャンスが生まれる。』と言っているようになる気がします。
以下コピー
空売り投資家で調査会社シトロン・リサーチを率いるアンドルー・レフト氏は、日本の株式市場は非効率的なため、利益を上げるチャンスが見込めると話す。シトロンは16日、医療機器の研究開発を手掛けるCYBERDYNEの株価が割高だとし、下落するとの見通しを示したリポートを発表。これを受けて同社株は急落した。
レフト氏は企業に対するプラスの見方とは別の視点を提供することで、市場に欠落する部分を補っていると説明。日本の投資家は物事の両面を受け入れるべきだとし、監督当局や取引所が企業を批判する勢力を抑えようとすれば、それは間違っていると指摘した。サイバーダインはシトロンのリポートは悪意を持って書かれ、事実誤認の内容だと主張。法的措置を含めきぜんとして対応するとの文書も発表した。
シトロンのほか、空売り投資家ではグラウカス・リサーチ・グループも日本企業を標的としたリポ-トを最近発表しており、物言う投資家の役割をめぐる議論が深まりそうだ。空売り投資家の日本市場参入は比較的新しい動きであり、これに対し日本側は疑心暗鬼になっている。 日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)は空売り投資家のやり方に「倫理的に疑問を感じるところもある」と発言していた。
レフト氏は電話インタビューで、「なぜ日本に目を向けているかというと、米国はかつてほど同様の状況にないからだ。そうなった理由は公の場での議論、つまり情報の民主化を米市場が許してきたからだ。これで市場が効率的になった。私にとって非効率的な市場は好ましい」と話した。
レフト氏(46)は昨年、カナダの医薬品メーカー、バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルが粉飾決算をきっかけに経営破綻したエンロンの第2弾ではないかとのリポートを発表し、注目を集めた。同氏はJPXの清田CEOのコメントについて、空売り投資家の市場での役割への「無知」が露呈したと指摘したグラウカスの調査ディレクター、ソーレン・アンダール氏の意見に同調する。
グラウカスは7月27日、伊藤忠商事の投資判断を「強い売り推奨」で開始するとのリポートを発表。同社の会計手法を問題視した。伊藤忠は「適切な会計処理を実施しており、当社の見解とは全く異なる」とのコメントを発表している。
この翌日の会見でJPXの清田CEOはグラウカスについて、「元々こういったネガティブなニュースが自らの調査で判明したら、空売りをしてから発表して利益を得る」投資家と伝えられていると述べ、「自主規制法人の売買監視チームと監視委員会等で不自然なものがあるかどうかについて手口で調べることはできる」と語っていた。
レフト氏は「誰の意見もつぶしてはならない。市場に必要なのは表裏のない情報だ。それがどこから出てこようと、関係ないはずだ」と語った。
日本の企業幹部や投資家は株価上昇に向けて物言う投資家には態度を軟化させつつある。これは、企業側に株主への対応を強化させ日本株式会社の利益を高めたい安倍晋三首相の意向に促された側面もある。空売り投資家も日本市場に参入し始めているが、意見対立を良しとせずあまり知られていない外国人投資家に企業のマイナス面を指摘されることを警戒する日本社会では、特に向かい風がきつい。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、「彼らの発言はポジショントークにすぎない」と指摘。「空売りしておいて、その会社を批判する点には疑問を感じざるを得ない。個人がネットの掲示板に批判を書き込むこととあまり変わらないように感じるが、空売りファンドはその影響度が大きい。風説の流布や株価操縦とみられてもおかしくない」と付け加えた。
レフト氏の読みは常に当たるとは限らない。米フェイスブックの空売りを6月に発表したが、それ以降に同社株は上昇。同月初旬に化学品メーカーの米ケマーズの株価はゼロになると予想したが、それから43%上げている。同氏はまた、香港で投資家を欺いたとして当局の調査対象となっている。
物言う投資家には日本での姿勢を軟化させる傾向も見られるが、レフト氏は自分のやり方を変えるつもりはないという。16日のリポートはサイバーダインの株価水準が「世界で最も途方もない」とし、人の排せつ物のイラストまで掲載した。
さわかみ投信の草刈貴弘取締役最高投資責任者兼ファンドマネジャーは、シトロンのリポートについて、「過激な書き方や言い回しには下品な部分もあるが、内容としては当然のことだと思う」とし、「割高であることはみんな言っている。特に海外投資家はそう言っていた」と述べた。
サイバーダインの宇賀伸二最高財務責任者(CFO)は17 日の電話インタビューで、「シトロンのリポートには事実誤認や表面的な部分だけで捉えた部分がある」と述べ、週内にも「事実に基づいた見解」を公表する予定だと語った。「投資家にきちんとした説明ができるという確信がある」と言う。
ロサンゼルスを本拠とするレフト氏は、6月の香港での会議でヘッジファンドのオアシス・マネジメントが弱気な見方を示したのを受けて、サイバーダインについて調べたと説明。日本企業だから標的に選んだのではないとした上で、空売り投資家の存在は日本にプラスだと述べた。
「非常に飲みにくい薬のように聞こえるのは分かっているが、日本にとって良いことだ。それによって市場が進化する。私の見方が間違っていれば、投資家には買いのチャンスが生まれる。市場で議論を戦わせることを許すのはプラスだ。本当にそうだ」と話した。