monologue
夜明けに向けて
 



「ご隠居さん、お元気ですか、いつぞやはありがとうございました。」
「おや、六さんじゃないか、ひさしぶりだね。また預言解読かい」
「いえ、そうじゃないんです。今回はちょっと訊きたいことがありましてやってきました。おいらご存知の通り趣味で素人劇団をやってまして」
「ああ、憶えてるよ、一度見に行ったことがあったっけ。たしか『ゴミオと呪リエット』という箸にも棒にもかからない芝居だった。時間の無駄だったよ。見に行くのじゃなかったと激しく後悔した。今でも後悔しつづけてる。これぐらい言っておけば二度とカンパのチケットを押しつけられることはないだろう…。」
「たしかにあれは失敗作でした。でもいつかは立派な作品を上演して世間に認められる日が来ると信じて稽古に励んでいます。本題に入っていいですか。稽古の時、まずみんなで声出しするんですが五十音順なら『アイウエオ』ですが役者の稽古では『アエイウオ、アオ。カケキクコ、カコ。サセシスソ、サソ。』と順番に進んで『ワエイウヲ、ワヲ』までゆくんです。でもところがですよ、日月神示や出口王仁三郎は『アオウエイ』の順番が正しいと言ってるようなんです。『アイウエオ』でも『アエイウオ』でもなく『アオウエイ』という順番なんですよ。それで稽古に採用して『アオウエイ』を繰り返して『アーオーウーエーイー オーン』で締めるとなんだか『アーリーオーン』に似ていますね。なんかアリオンの匂いがしませんか。なぜ『アオウエイ』という順番でなけりゃいけないんでしょうか。わかりますかね。いろいろな説があるんですがどれも腑に落ちなくて、ご隠居さんには無理かな…、ちょっとむづかし過ぎるかな…、」
fumio

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