「ふーん、ヒミコねえ。ヒミコには馴染みがあるのかい。」
「まあシェークスピアよりはね。ヒミコにも会ったことはねえんですがよく知っているような気がしまして。なにしろ古代とはいえ日本の女王ですから…。ところが脚本を書き始めたんですが、実は名前もわからないことに気づいたんです。ヒミコってのは日の巫女といういわば役職名でしたね。家族やまわりの人はなんと呼んでいたんでしょうね。本名は何だったんでしょうか。それがわからないと会話が書けないんですよ。」
「そうか、たしかに卑弥呼というのは邪馬台国の民衆が女王を呼んでいた発音を中国で当て字しただけだし本名じゃないだろうね。六さんはヒミコの本名を知らないことに気がついたのか。それはすごい。ほとんどの日本人はヒミコに本名があったということすら思いつかないだろうね。」
「みんなヒミコが本名だと思っているんでしょうね。別にそれでも自分の生活に不都合はないし…。ご隠居さん、どうかヒミコの本名を教えてくださいよ…。でもいくらご隠居でも無理でしょうね、これは…」
fumio
| Trackback ( 0 )
|