monologue
夜明けに向けて
 



父は今度はつがいのウサギを買ってきて庭の鳥小屋の下に扉をつけてウサギ小屋にした。昼間は庭に放して自由にさせる。かれらは別に犬と喧嘩するでもなく平和に遊んでいた。そして暗くなってくるとわたしが鳥小屋の下のウサギ小屋に入れるのだ。ところがかれらはそれをいやがって逃げる。わたしは庭中を駆け回りなんとか一羽ずつつかまえる。普段ゆったりしているくせにその時だけは脱兎の如くという表現のとおりすごい速さだった。カナリヤもウサギも巣に入れられる前のその鬼ごっこを楽しんでいる気配があった。別に危害を加えられるわけでないことをわかっていて逃げ回るのがうれしいのかもしれなかった。人との暮らしでの運動不足をそれで解消していたらしい。なるべく生き物たちを縛らず自然に近い状態で暮らさせたいと思うけれどそれはなかなかむづかしい…。
fumio


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