5日(水)のA級順位戦ラス前の一斉対局8回戦は、名人挑戦者レースを7勝0敗でトップを走る羽生善治三冠が深浦康市九段に敗れ、その隣では5勝2敗で追う渡辺明二冠が三浦弘行九段と対局していた。とても届かないと思っていた羽生善治三冠の投了を目にして勝てば自分に名人挑戦者のチャンスが出てきたのを知った渡辺明二冠の胸中にはその時、何がうずまいたのだろう。棋士ならだれもが抱く名人への夢がついに手に届きそうなところに近づいたのだ。ところがなんと、それまで優勢に進めていた将棋をダメにして敗れてしまった。他力のため半分あきらめかけていた千載一遇の初挑戦のチャンスが隣から転がり込んできたのに自分で手の中からポロリとこぼす辛い敗北。羽生善治三冠の隣での対局ではなく別室での対局なら違う結果が出たかもしれない。それがコンピュータではなく心を持った人間の闘い。それでラス前に羽生善治三冠が名人挑戦者に決定してしまった。ファンとしてはラストまでもつれこんでほしかった。「将棋界の一番長い日」と呼ばれる、「第72期A級順位戦最終局」の開催地、静岡市もA級陥落者決定局では盛り上がらず残念。
fumio
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