monologue
夜明けに向けて
 



有馬家の客分であった天下一の剣豪武蔵でさえ、歯にお歯黒をし、髪を後ろで束ねて前髪を垂らし、額に十字架を立て、美しい艶やかな衣装を身に着けて妖しいオーラを発する四郎少年と対峙すると四郎の星のメシアとしてのカリスマ性にはまってしまい身動きできなくなって困って有馬家の当主有馬直純への手紙で「拙者も石にあたり すねたちかね申故 御目見得にも祗候(しこう)仕(つかまつ)らず候猶重(なほかさねて) 可得尊意候(そんいをうべくそうろう)恐惶謹言」と述べて脛が立ちかねて歩くこともできないがどうしましょうと弱音を吐いている。
昔、予言の民ホピインデイアンが日の昇る国にツルーホワイトブラザーが現れて世を救うと予言しているように
星のメシヤ四郎の登場はドラマチックだった。原城の空がにわかに掻き曇り世の終わりかと思わせるようにひとしきり雷雨が降りしきってやっと止んだと思うと四郎少年がスーパースターとして舞台中央にひとり残り雷光にライトアップされて照らされて「わたくしはユダヤ人の王ナザレのイエスJesus de Nazaré, Rei dos Judeus」星のメサイヤとして世を救う、と宣言したのだ。それが星のメシヤのデビューだった。
すると敵味方だれもかれもが嗚咽して泣き叫び「LOVVAD・SEIAOSẨCTISSIM・ SACRAMENTO (最も貴き贄を讃え崇める)」とコーラスした。
「ラヴアンド愛」と繰り返し陶酔状態で阿波踊りのように踊りまくる。スーパースター天草四郎の額には☆の印が輝いて回転していた。
fumio

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