「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

犯罪からの卒業生たち/「アミティ」(4)

2006年04月08日 13時37分00秒 | 死刑制度と癒し
 「アミティ」の前身「シナノン」は、精神疾患や薬物依存の人々の治療として、50年代に米国で始まり、

 その後、ベトナム戦争の帰還兵や犯罪者にも適用されるようになりました。

 同じ問題を抱える人々が生活を共にしながら、問題を乗り越えるために互いに支え合うものです。
 

 アミティの創始者であるベティとナヤは、自らが薬物依存者でした。

 ナヤは父親から性的虐待と暴力を受けて育ちました。

 家出をたび重ね、薬物を濫用し、服役体験もあることを、彼女はサラリと語ります。

 ベティもまた、ポルノに囲まれた家で育てられ、売春を親父に強要されました。

 薬物に手を出し、自殺や万引きを繰り返したと言います。

 しかし「シナノン」と出会って薬物から脱却し、その後民間非営利団体「アミティ」を創設したのです。

 アミティの他のスタッフたちもすさまじい経歴の持ち主です。

 近親者からレイプされ、何度も親に殺されかけ、施設をたらい回しにされ。

 その挙げ句、罪を犯し、人を殺し……。

 ここのスタッフの多くは、かつて問題を抱えていた当事者・犯罪者であり、「アミティ」の卒業生なのです。

(続く)
 
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