心子と付き合っていたとき、彼女の誕生日をレストランで食事して祝いました。
ほんの安い物しか買えませんが、心子に指輪をプレゼントしました。
心子は、親友であるミイちゃん(アメリカ育ち)の、顔なじみのフランス人が営むブティックで、あでやかなドレスを買って、
誕生日のこの日に、実は僕を驚かせるつもりでいたのだと言いました。
胸がざっくりと開き、スカートにスリットが入った薄いドレスで、
下着の線が出ないようにするため、ドレスの下には何も着けないのだといいます。
ホントーか?(・_・;)
フランス人の店長は、「彼は燃えるぜ」と言ったそうです。
ところが誕生日の朝、心子がうきうきしてドレスを着ると、胸のボタンがきつくて締まりません。
ドレスを買ったときより胸が大きくなってしまっているのです。
「マー君(σ(^^;)のことです)が揉むから……」
心子のバストが豊かになったのは、内心僕も感じていました。
ドレスのボタンははじけて飛び、どこかへ行ってしまったそうです。
心子は泣いてミイちゃんに電話をしました。
「Help me! It's happening! 誕生日、だめになっちゃった……」
「どうしたの? またマサユキと何かあったの?」
心子はいきさつを述べましたが、ドレスは特別あつらえなので、ボタンの位置を付け替えることはできないとのこと。
ドレスを返品できたのはラッキーでしたが、結局誕生日の“悩殺大作戦”は不発に終わりました。 (^^;)
でも、心子は僕が贈った指輪を喜んでくれて、指にはめてしみじみと眺めていました。
心子はもう一人懇意にしている男性が遠方にいて、以前、三十万円するルイ・ヴィトンのブレスレットをもらっていました。
僕と会わないときは心子はそれを付けていたのですが、僕が指輪をプレゼントしてからブレスレットをしなくなりました。
友達に言われたそうです。
「三十万円、負けたかぁ」