「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「少し先行く人々」に支えられて/「アミティ」(5)

2006年04月09日 18時09分27秒 | 死刑制度と癒し
 以前受刑者だったスタッフたちは、アミティのプログラムを受けたあと、専門的なトレーニングを受けます。

 そしてカウンセラーの資格を取り、インターンを務めてから、ようやくスタッフとして認められます。

 彼らは、今プログラムを受けて甦生しようとしているレジデント(居住している受刑者)の、「少し先行く人々」なのです。

 アミティではグループセラピーを通して、レジデントが自分の生い立ちを見つめます。

 音楽に合わせて踊りながらゲームスタイルのワークショップなどで、レジデントは少しずつ自分の過去を語り始めます。

 語るうちに彼らは、今まで押さえ込んでいた記憶のふたが突然開いてしまったように、感情があふれ出て激しく嗚咽したりします。

 また、仲間に励まされつつ必死に語りながら、爪をかじったり、足をカタカタ震わせたり、ときには吐き気をともない、トイレへ駆け込むこともあります。

 彼らが自分の悲惨な過去と向き合うのは、それほど苦しい体験なのです。

(続く)
 
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