今年も花見の季節です。
心子と行った、家の近くにある川沿いの見事な桜並木を見にいきました。
彼女が旅立ってからもう早6回目の桜になります。
花曇りのなか、風が吹くと花吹雪が舞い、幻想的でもありました。
川面に浮かぶ無数の花片もまた風情があるものです。
延々と続く桜のトンネルのような素敵な所もあります。
川沿いの道の脇(川の反対側)に並ぶ桜たちが、その枝を川面へ向かって大きく延ばして降ろし、
道を歩く人の頭の上を覆って、ちょうど桜の花びらが形作るドームのようになっているのです。
手を延ばせば花に届くほど、枝は低く垂れ下がっています。
そんな桜の下、彼女と腕を組んで花を愛でたことを思い出しながら歩きました。
このところ自然に触れる機会が少なかったですが、心が和むひとときでした。
心子との想い出の場所を回顧しながら歩きました。
彼女と写真を撮った所、焼き鳥とビール味わった出店、並んで座ってしゃべったベンチ、甘酒を飲んだ神社……。
毎年桜の時期に歩いて回ります。
そして、拙著の中のエピソードにも出てきた、川向こうで爆発を起こした家……。
ところが、この家は取り壊されて駐車場になってしまっていました。
他にも、家屋が壊されて更地になっていたり、信号の位置が変わっていたり。
想い出の場所も、時の流れと共に少しずつ変わっていくのでしょう……。
でも街は変わっていっても、本の中の彼女はいつまでもずっと生きています。
やはり、彼女のことを書き残すことができて良かったと思うのでした。