「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

猿のもんち

2006年04月18日 16時15分19秒 | 心子、もろもろ
 
 心子は「もんち」という猿のぬいぐるみと年中一緒にいました。

 外出するときも必ずもんちを抱くか、バッグの中に入れて歩きます。

 心子と知り合った当初は、いい年をして困ったもんだと思っていましたが、

 もんちは心子にとって単なるぬいぐるみではありませんでした。

 寂しいとき、辛いとき、心子はもんちを抱いて泣き寝入りしたといいます。

 もんちには心子の涙が一杯染みついて薄汚れていましたが、心子はそれを洗おうとしませんでした。

 もんちは朝な夕な心子の横にいて、彼女を慰めてくれたのです。

 もんちは心子にはなくてはならない格別の存在でした。

「もんちは天使」

 心子はそう言っていました。

 もんちを生きているものとして扱い、食事のときもまず先にもんちに一口食べさせ(る真似をし)てから自分が食べます。

 心子にはそんな仕種が似つかわしいのでした。

 あるとき送られてきたメールです。

<苦しいヨォ! 逢いたい! アーン寂しい(稲本幼稚園・年少タンポポ組 しんこ&もんちより)>
 
コメント
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