心子は「もんち」という猿のぬいぐるみと年中一緒にいました。
外出するときも必ずもんちを抱くか、バッグの中に入れて歩きます。
心子と知り合った当初は、いい年をして困ったもんだと思っていましたが、
もんちは心子にとって単なるぬいぐるみではありませんでした。
寂しいとき、辛いとき、心子はもんちを抱いて泣き寝入りしたといいます。
もんちには心子の涙が一杯染みついて薄汚れていましたが、心子はそれを洗おうとしませんでした。
もんちは朝な夕な心子の横にいて、彼女を慰めてくれたのです。
もんちは心子にはなくてはならない格別の存在でした。
「もんちは天使」
心子はそう言っていました。
もんちを生きているものとして扱い、食事のときもまず先にもんちに一口食べさせ(る真似をし)てから自分が食べます。
心子にはそんな仕種が似つかわしいのでした。
あるとき送られてきたメールです。
<苦しいヨォ! 逢いたい! アーン寂しい(稲本幼稚園・年少タンポポ組 しんこ&もんちより)>