「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

若い世代の自殺を防げ ~ 境界性パーソナリティ障害 (4)

2011年03月07日 21時19分47秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

〔スタジオ〕

 松沢病院・ 林直樹医師。

林 「境界性パーソナリティ障害の 主な症状の発現の場が、 対人関係なんです。

 患者さんがよく、 感情のジェットコースターという 表現を使う。

 それに 家族も巻き込まれて苦労します。

 見捨てられる不安や 怒りの感情に押し流されて、 とことんいってしまう。

 それで自傷行為をしたり、 空虚感, 虚無感,

 生きていてもしょうがないという 気持ちを抱き続けます。

 原因の解明は不充分ですが、 次々と新しい知見が 明らかになっています。

 脳の機能異常が 反映しているのではないか、とか。

 逆に、 社会・ 文化的な要因も 関与しているのではないか。

 例えば、 先進国にはあるが 発展途上国にはない、

 都市部には多いが 農村部には少ない。

 無視してならないのは 養育環境です。

 ストレスが多い 養育環境に育つと、

 病気になりやすいという 知見も明らかになっています。

 20~30代に多いのは、

 その頃には 衝動的な行動に走りやすい 傾向があるからです。

 40~50代になると、 落ち着いてくることが期待されます。

 もちろん、 治療によって もっと早く良くなる人も いらっしゃいます。

 アメリカの研究では 人口の1~2%と言われていますが、

 日本でも同じくらいの発症が あるだろうと考えられています。

 私たちの病院では 患者さんの数は、

 自傷行為や自殺未遂の数と 軌を一にして増えています。

 患者の身近な人たちは、

 患者のジェットコースターから降りるということが 正しい方向だと思います。

 簡単にはできませんが、 患者も家族も、 冷静さを取り戻すトレーニングをするとか、

 ひとつの見方をしたら 別の見方もすることを 習慣づけていくことで、

 だんだん回復していく。

 家族の協力があると、 患者の回復も早いと思います。

〔 NHK 「クローズアップ現代」 より 〕

(次の記事に続く)
 
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