ネタは降る星の如く

とりとめもなく、2匹の愛猫(黒・勘九郎と黒白・七之助)やレシピなど日々の暮らしのあれこれを呟くブログ

インド大津波から2年

2006-12-26 20:11:56 | 時事
 事故・災害ネタが続くのは偶然だが……。

インド洋大津波から2年、各地で追悼行事など開催
インドネシア・バリ島──23万人の死者・行方不明者が出たインド洋大津波から2年を迎えた26日、被災各国では各種の追悼行事が行われた。

(中略)

大津波はスマトラ沖で起きたマグニチュード9の地震が原因で発生し、被災国は十数カ国に及んだ。2階建ての建物とほぼ同じ高さの波がジェット機とほぼ同じ速度で各国の沿岸に押し寄せ、インドネシアやスリランカの村落、タイのリゾート地や漁村、インドの民家数千軒に甚大な被害を与えた。中でもインドネシア・アチェ特別州では16万7000人が死亡するなど最悪の被害を記録し、数万人の住民は現在も仮設住宅での生活を余儀なくされている。


Wikipedia: スマトラ沖地震

日本赤十字社
シリーズ スマトラから2年 その1
シリーズ スマトラから2年 その2

 街を壊しながら迫ってくる津波の映像が衝撃的だった。黙祷……。

書評「脱線事故を冷静に見つめた被害者」

2006-12-26 20:10:53 | 時事
 本そのものはまだ読んでいないが、この書評を読んだだけでも、その内容の重みが伝わってくる。

日経SAFETY JAPAN[書評]第13回
「福知山線5418M 一両目の真実」
 文字がそんなに多いわけではないし、文章が晦渋(かいじゅう)なわけではない。本を読むのが苦手な人であっても、さっくり2時間もあれば読み終わる本だ。しかしその内容は「重い」などという一言で片づけられるものではない。2005年4月25日に発生し、死者107人を出す大惨事となった福知山線脱線衝突事故。その列車の1両目に乗り合わせ、生還を果たした記録なのである。

 同事故では、脱線した車両がマンション1階の駐車場に突っ込み、1両目は壁面に激突してぐしゃぐしゃにつぶれた。当初救助に当たった人々は、残った2両目が先頭車両だと誤認し、やがて「車両の数が合わない」と気が付いて1両目が完全につぶれていることに気が付いたという。それほどひどい状況の中から著者の吉田恭一氏は辛くも生還した。

 希有なことに吉田氏は鉄道マニアでもあり、鉄道に関して一般人以上の知識を持ち合わせていた。本書は、人並み以上の知識を持つマニアの目から見た事故の経験談という、おそらくは世界にも類のない本だ。


 乗り合わせた電車が急カーブに差し掛かっても減速しないことを、危機感をもって体感する辺りの紹介記事を読んでいても、背筋に冷たいものを感じる。

 車掌の責任問題にもまして興味深いのは、入院中の著者のところに謝罪に訪れた、JR西日本の垣内剛社長(後に辞任)の描写だ。

 ここで著者は、垣内氏に対してちょっとした「トリック」を仕掛ける。

 「(前略)つまり、まことに生意気で申し訳ないけれども、批判した後少し持ち上げて『あの男』(評者注:垣内氏のこと)がどういう反応をするか窺ってみたのである。
 すると、最後に『あの男』の口元が、わずかではあったが緩んだのを、私の目は見逃さなかった。なるほど、まったく冷徹な人間ではないようだが、かといってそれほど人間的な深みもなく、そして心の変化が如実に表れる、政治家向きではないタイプの人間であるなと思った。」(本書p.81)

 本人が事故の被害者であるというバイアスを差し引いて考えても、この人間観察は鋭い。事故という修羅場を使って、加害責任者となった人物の人間性をあっさりと見透かしている。

 これを逆に見れば、危地に立った企業トップは、自分の人間性が試されるということに他ならない。高い地位にあるとか、高給を取っているとかとは関係ない、純粋に人間としての出来が、危機に対する対応の、ほんのちょっとしたところで見透かされ、記録され、おそらくは半永久的にネットにさらされ続けるということである。


 こういう人の生死を分けた大事件のドキュメンタリーは重くて読むのが怖い。ただ、この紹介記事を読んで、この大惨事を奇跡的に生き延びた人が使命感をもって書き上げた本を手にとってみたい気持ちになった。

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