行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

経済危機の原因はいつも金融機関?

2009-01-10 12:15:29 | 社会・経済

 今回起こった世界的な経済危機の原因は、米英系の投資銀行と呼ばれた金融機関が世界中にばらまいたサブプライムローンなどのクズ債権を組み込んだジャンクボンド(クズ債)が原因だといわれています。

 サブプライムローンとは、組んだ住宅ローンの担保となっている住宅の担保価値が上がったから、更なる資金をお貸ししましょうと、新たなるお金を貸し付けた部分のローンをいいます。つまり、住宅価値が上昇し続けて、その住宅が第三者に高値で転売できるのであれば成り立つシステムでした。これは、1988年日本で起こったバブル経済と全く同じ論理だったのでした。

 当時日本では、銀行すべてが狂ったように融資競争に明け暮れていました。不動産は値が下がることは無く、株価もまだまだ上がるであろうから根抵当権限度額(担保不動産の抵当権価値)をもっと引き上げますので、どんどん借りて下さい。株式投資はどうですか?マンション投資もOKですよ!なんだったら無担保で1億までなら短期でお貸ししますよ!なんて調子で、毎日のようにさまざまな銀行の融資課長兼支店長代理が会社に来ていました。

 このようなどこか狂った実体性の薄い経済活動に大きな疑問を感じていた私は、財務担当の兼任責任者として限度額の拡大どころか、逆に下げて欲しいと融資課長に言ったのでした。確かに、クレジットカードの利用限度額を少なくして欲しいというようなものですから、

 「もったいない!銀行に勤めて何十年になりますが、そんな依頼を受けたことが無い!正気で仰っているのですか!オーナーはご存じなのですか?」と融資課長

 「ええ、オーナーには既に了解は貰ってあります。借金は借金ですから返さなければならない訳ですし、やはりオーナーの大事な資産ですから・・・。それに、私の居たM国では、原油価格がどんどん上昇するという間違った判断から国が破綻してしまいましたからね。」と私

 「そんな!!!ここは日本ですよ!土地の値段は下がった事なんて一度も無いのですよ。今、有効に投資して行かなければ勿体ないでしょう!」と再び融資課長

 「いや、核家族に子供が一人しかいない現状で、数十年経てば両親の家2軒に対して子供達夫婦1組ですから、不動産は必ず余ります。ですから、どう考えてもこのまま行くとは思えませんから限度額を下げて下さい!」と、とうとう限度額を下げさせてしまいました。その時の融資課長の憮然とした態度がとても印象的でしたが・・・。

 日頃冷たい金融機関に、「あなた住む住宅の価値が上がりましたから、XX万ドルまでならばいつでもご融資致します。きっと、ご自宅の価値は更に上がることでしょうから、ご自宅を転売されたなら、このご融資額も含めた以上の価格で売れることは間違いなしです!新車や家具、或いは、ドレスなどお客様が欲しかったお買い物などにどうぞお使い下さい!」こんな調子で、アメリカのサブプライムローンという貸出を増やしていったのだと聞いています。

 問題は、こういった人々への融資が限界となり、不動産価格上昇に陰りが見えたと同時に、こんどは何百万人にものぼる英語も碌に話せないような中南米系移民にまで融資対象を広げて、問題の先送りを始めたことでした。

 そして、更なる元凶ともいえる、このような非常にリスクの高い債権を複雑に組み込んだジャンクボンド(クズ債)が、金融工学の名の下で世界各国に売りさばかれていったのでした。日本でも銀行などの金融機関や証券会社、生損保、年金等の運用機関などの機関投資家のみならず、企業や、はたまた大学といった余剰資金を有する組織までもが標的になりました。

 「現状の低金利の中で、金利や配当を生まない多くの剰余資金を多く抱えた組織は財務的には大問題です。株式は乱高下するリスクはありますが、こういった金融工学に基づいたファンドを資産として保有されない事は、株主や出資者へ対する背任行為ですよ!」などと、XXマン・XXザースなどの投資銀行のセールスマンが言ったとか・・・。

 1929年に起こった恐慌も金融機関にそそのかされた企業経営者が本業そっちのけで、株式相場や不動産投資にのめり込み、本業である物作りを忘れてしまった結末だったといわれているのです。

 本来、企業の資金調達手段であった株式が投機の対象となっている現状と、それを助長するような優遇税制ばかりが景気対策として提案され、そればかりが目に付くのは本末転倒も良いところです。個人のデイ・トレーダーを含めて、短期株式売買の繰り返しという、いわゆる非生産的な投機行為に優遇税制を与えることは、いずれは再び金融破綻を繰り返す原因を助長するだけのような気がします。

 金融機関は、飽くまでも製造業などの産業のサービス部門でなければいけない筈です。XXマン・XXザースのような会社では、何億・何十億といった高給取りのトレーダーや役員のような人々が我が世の春とばかりに街を跋扈し、毎日六本木界隈辺りで高級シャンパンを空けられるような社会になってはいけないと私は思うのです。最近は音沙汰のないXXファンドの△上さんやら○○衛門さんなども似たような種類の人達です。また、今では消滅してしまった長銀・興銀・日債銀などに居たエリート行員達などもしかりです。もし、それが国家の政策として導入出来ないような政府であれば、今後その国の経済は必ず衰退し、再び破綻して行く運命にあると私は本気で思っています。

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コメント (4)
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