行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

行政書士開業講座(第3回)

2009-01-31 01:11:39 | 資格・転職・就職

 ”好きこそものの上手なれ”なる格言がありますが、専門家になるには、その仕事が好きでなくてはなりません。儲かるから仕方なくやっているとか、取り敢えず簡単そうだからとか、いやだけど取り敢えずやってみようとか、ただ単に需要が多そうだからとかやってみよう、といった感覚でやる仕事の姿勢では、依頼人から決して良い仕事をしてくれたと言われることは無いと断言できます。多少なりとも、マニアックなまでに、その依頼案件にのめり込めるか、或いは、打ち込めるかどうかだと私は思います。

 例えば、漫画家で医師でもあった手塚治虫は、漫画の世界が大好きな青年でした。だから世界的な漫画家になれたのだと思います。作家で、やはり医師でもあった渡辺淳一も同じだと思います。

 つまり、安定性があるとか、年収XXX万稼げるとか、時間が自由になるとか、サラリーマン時代のような人間のしがらみから逃げられるとかいっった理由だけでは、専門家になるどころか、コンスタントな依頼を受けることさえも危うくなって行くと私は思います。

 それは、ごくごく簡単な話でして、好きでやっている訳ではないので、結果としてその分野の細部に渡るまでの目配りができない事や、それに付随・関係する分野にまでも好奇心を持つことが出来ないからです。つまり、些細な事を見落としたり、解決方法として、別な角度からのアプローチするといった方法を見出せない為に、結果として解決策が見つけ出せないままで終わってしまうからなのです。

 実は、私は結果的に解決に2年がかり、3年がかりというような時間が掛かるような案件を引き受ける事もあるのです。具体的にお話しすると長くなりますので、ここではご説明しません。しかし、実際に今現在でも、依頼人も私も意地のようになっていて、6年目の現在も解決に向けて努力している事案もあるのです。

 ですから、皆さんが行政書士の仕事として、これだったら打ち込めそうだと思われるような業務を探すことが、先ずは重要な第一歩なのです。

 ところで、行政書士の代表的な定型業務と言われている業務には、以下のようなものがあります。

 1.建設業許可経営事項審査建設工事競争入札参加資格審査、宅地建物取引業登録、電気工事業登録等の建設・宅建関係

 2.遺産分割協議書作成、財産・相続資料の調査・収集、相続・遺言書起案・作成

 3.介護保険指定事業所、高齢者財産管理・福祉申請関係、任意後見契約公正証書の起案作成等の高齢者・福祉関係

 4.貨物運送業許可、倉庫業許可、自動車登録、車庫証明、封印申請、自賠責保険請求などの運輸・交通関係

 5.外国人在留資格、国籍手続、国際婚姻・国際養子縁組などの国際業務関係

 6.旅券申請代行、領事館査証の申請代行、渉外民事証明書認証手続などのその他の国際身分・民事手続

 7.株式会社、合同会社、外国会社の日本営業所、社団法人・財団法人・NPO法人などの設立・設置手続関係

 8.定款作成代理、組織変更・役員変更・合併・定款変更などの会社議事録作成関係

 9.農地転用届、産業廃棄物最終処分場許可、協同組合設立などの地方型業務

10.バー営業許可、深夜飲食店許可、パチンコ店営業許可、風俗店営業許可申請などの風営関係

11.総勘定元帳作成や給与計算代行などの会計記帳

12.貸金業登録、旅行業登録、警備業認定、酒類販売免許、飲食・美容院・理容店・クリーニング店等営業許可等々の許認可関係

13.医療法人設立、医薬部外品製造、化粧品製造販売、化粧品輸入届、医療器具承認等の医療・薬品関係

14.文化庁著作権登録、コンピュータープログラム登録などの著作権関係

15.各種補助金・助成金申請代行、私募債発行手続、事業計画書作成などの事業資金コサルティング付随関係

16.離婚協議書作成やカウンセリングなどのカウンセリング付随業務

17.告訴状、告発状、示談書、強制執行認諾条項付消費賃貸(債務弁済)契約公正証書、覚書・契約書、内容証明書等々の作成などの市民法務関係

 以上書いた業務は、いわゆる定型業務ですから、これ以外の非定型業務も相当数あります。そして、2.3.5.14.15.16.17.などはここ20年以内に急増した業務です。ですから、規制緩和の結果、業務が減るどころか、不思議と逆に業務は増えているのが現状です。

 これらの業務は飽くまでも、関わる行政書士人数の多い・少ないは別として、それなりの人数の行政書士が業務として取り扱っている業務です。従って、余り知られていない申請や手続なども多々あります。

 例えば、私の場合ですが、IATA加盟手続とか海外在住日本人の報告的出生・婚姻・認知・死亡等の届出の代行とか、外国機関向けの外国文書による事実証明書の作成やら、日系人のルーツ調査といったような、あまり他の行政書士が行っていないような業務も取り扱っています。それは、私だけに限らず、多くの中堅・ベテラン行政書士の方々も同じようにレアーケースな申請手続をそれなりに経験されていらっしゃると思われます。

 こういった業務をすべて書き出すと、おそらく数千の申請や手続業務が出てくるものと想像出来ます。ですので、上記定型業務だけを見て一喜一憂したり、或いは、好き嫌いと決めつけたりする必要はまったく無いと私は思います。それこそ、何かの拍子に、新たなる発見や出会いがあるかも知れません。

 こういった行政書士業務の中で、ご自分が好んでのめり込めそうな業務が見つかれば、その業務の専門家になるように、それからでもご努力・ご精進されたら良いのです。

 勿論、かつて職場での経験や人生経験を活用できれば、それに越したことはありません。しかし、嫌いな仕事を続けていても、所詮は探求心や向上心が必ず乏しくなりがちですから、専門家になる事は極めて難しいと考えます。

 本当に好きな業務であれば、面倒とか、手間ばかり掛かって儲からないといった、マイナスに取り組み姿勢が働くことがありませんので、とことん追求・探求することにより、依頼人が納得して頂けるような素晴らしい仕事を結果としてすることになるからなのです。

 以上が、専門家になる為の極意です。なぁ~んだ!と思われた方々がきっと多いと思うのですが、これは本当です。儲けや効率だけで行っている、やっつけ仕事で報酬を簡単に取れるほど世の中甘くはないのです。ある意味では、相当なマニアック的な仕事をしない限り、あっという間に模倣されるどころか、依頼人からも見放されてしまうのです。

 よく、経済性、利便性のみでクライアントを確保しようとする新人の方々がいるのですが、少なくとも短期的には成功しても、長期的にはそれで成功した実例は未だにありません。時と共に専門性を採り入れて、方向転換して生き残った方々は居ても、薄利多売のような依頼の呼び込みで、長続きした事例は皆無なのです。

 では、次回は専門家として成功する為の秘訣というか、ヒントについて書いて見ようと思います。

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コメント (2)
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