一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ホテルの寿命

2006-12-21 | あきなひ
先日紀尾井町に行ったら、ホテルニューオータニの本館の外装をリニューアルしていました。

薄茶っぽい石と緑がかったミラーガラス(隣のオフィスビル、ニューオータニ・ガーデンズコートと似た感じ)の外装に変えていました。
屋上の回転する展望レストラン(いまや都内最後?)もついにやめるみたいです。

清水谷公園側から見ると赤坂見附側の半分をの工事を先行して仕上げていて、今は残りの半分に取りかかっているようです(写真を撮らなかったので詳細はニューオータニのHP参照)


同じ赤坂界隈では、先月はキャピトル東急ホテルが閉館しました。こちらは建替えて複合ビルにし、その中に新しいホテルとして2010年にオープンするようです。(参照

くしくもキャピトル東急ホテル(当事は東京ヒルトンホテル)とニューオータニの開業はともに1964年です。
当時は東京オリンピックをあてこんだホテルラッシュで、1960年にホテルニュージャパン(火事により閉館)、1962年にはホテルオークラが開業しています。

また、その後のホテルラッシュといえばバブル期の「新御三家」(フォーシーズンズ、パーク・ハイアット、ウェスティン)の登場がありました。

そしてここ1,2年のラグジュアリークラスのホテルの建設ラッシュです。
マンダリン・オリエンタル、グランド・ハイアット、コンラッドはすでに開業し、来年はリッツ・カールトンとペニンシュラのオープンが予定されています。


「旧御三家」(帝国、オークラ、ニューオータニ)の建築と増築・リニューアルを時系列で一覧にするとこうなります。



オークラは比較的早めに改装を実施し、帝国は建物自体が比較的新しいので昨年本館を改装、それに対してニューオータニはずいぶん古い建物でがんばってきたことがわかります。

また旧御三家は、新御三家の登場に対しては改装という形での対策はどこもとっていなかったんですね。
新御三家の計画当事はバブル期で客の奪い合いを予想せず、新御三家開業後のバブル崩壊局面では収益的に旧御三家にも体力がなくなってしまったのでしょうか(旧御三家はバブル期に大阪や地方都市で系列ホテルをオープンしてましたからね。)。

ところが今回のホテルラッシュに呼応したかのように帝国とニューオータニは改装をしています。
これは新御三家の登場よりも大きな危機感を持っていることのあらわれなのでしょうか。
それともちょうど建物・設備の耐用年数とも一致したということなのでしょうか。

確かに最近オープンしたラグジュアリーホテルは、あまり部屋数も多くなく、旧御三家のように大きな宴会場もあまり持っていないので、直接の競合はあまりないのかもしれませんね。

この辺、旧御三家のブランド力はまだまだ健在なのかもしれません。



ところで、ホテルが新規開業しても宴会場が増えないので困っているのが株主総会の会場を探している企業だそうです。
特に近年上場企業が増えたため、会場の確保がより困難になってきたとか。

株主総会の集中日を避ける企業も増えたものの、大概の企業は準備と予備日を含めて3日くらい会場を押さえるので、1日、2日程度のずれでは需要の緩和効果はなく、かといって決算スケジュールを前倒しにするのも限界があるので、会場の受給バランスに対しては劇的な効果とまではいかないようです。


一方で、ニューオータニで築42年、オークラで築44年です。いずれもさすがにあと20~25年後くらいには耐用年数が来ると思います。
ところがキャピトル東急のようにホテルグループのひとつであれば建替えも可能でしょうが、売り上げの維持や従業員(このみち何十年のドアマンとか)の離散防止を考えると御三家は全面建替も難しいと思います。
かといって1970年代に増築をしてしまっているので、それぞれ敷地に空きもなさそうです。

となると、新館や別館を残して本館を建替え、ということになると思います。

でもそうなるとますます宴会場が減ってしまいますね。
もっともその頃は株主総会はweb上で開催しているのかもしれませんが・・・
コメント
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