ソ連のアフガニスタン侵攻に対するアメリカの現地の抵抗勢力への武器援助政策を主導した下院議員の実話に基づく映画。
アメリカは上院が外交政策で下院が内政と理解していたのですが、予算は下院で決めるのでCIAの工作費を抑えている委員会のメンバーは武器援助は自分で主導できるんですね。
ある意味1980年代という直近の外交のカリカチュアの映画を、純朴な人物が似合うトム・ハンクスと、頭の悪い(今回は熱狂的な)女性が似合うジュリア・ロバーツというわかりやすいキャスティングで娯楽映画仕立てにしています。
先週政治学者の藤原帰一氏の講演を聴いた中で、アフガニスタンについての一番の問題は統治する能力のある政治勢力の不在だ、という指摘がありました。
極端な話軍事政権だろうと独裁政権だろうと、既存の統治のシステムがあれば政治的安定は取り戻しやすいのだけれどそれがない中で一から外国からきた者が組み立てるのは至難の業。(それが今問題になっているのがコンゴの内戦)
アフガニスタンではソ連が侵攻したときも今のアメリカも、現地を統治するために軍閥を使ったものの、軍閥は麻薬栽培などで私腹を肥やすだけで国を統治する能力がなく、結局政権が安定しない。今で言えば地元に根を張ったアルカイダの方が地元住民の支持を得ているということだそうです。
この映画でも結局アメリカは冷戦当時表立って介入できないという事情と、下院の予算措置によるという制約から武器援助にとどまっていて、その結果ソ連撤退後のアフガニスタンの復興への支援ができなかったという示唆を最後のほうでしています(もっとも、実際に当時のチャーリー・ウィルソン氏(実名なのでしょうか?)がそこまで考えていたのかは甚だ疑問ですが。)。
逆に、こういう金を出して援助することで簡単に戦争を遂行することができるという経験がイラク派兵で自国民を派兵することの負担の大きさを見誤った遠因になっているのかもしれません。
映画ではパキスタンの軍事政権との関係(ジュリア・ロバーツ演じるテキサスの極右主義の富豪が接点があり、チャーリーがアフガニスタンに目を向けるきっかけになった)やサウジアラビアが常に米国の予算と同額の援助をしていたことにふれていますが、藤原氏は今のアメリカの中東政策の弱点はイスラム諸国ときちんとしたルートを作っていなかった(親米(軍事)政権だけしか相手にしてこなかった)ことだと指摘しています。たとえばムシャラフ後の現パキスタン政府とはルートがないそうです。
アメリカの外交政策が、「お友達」の国々からだけの情報と、難民キャンプを視察がきっかけでいきなり武器援助を決めてしまうようなナイーブなアメリカ下院議員の影響下にあるとすると少し怖い感じがします。
もっとも日本の外交政策も似たようなものかもしれませんが。
アメリカは上院が外交政策で下院が内政と理解していたのですが、予算は下院で決めるのでCIAの工作費を抑えている委員会のメンバーは武器援助は自分で主導できるんですね。
ある意味1980年代という直近の外交のカリカチュアの映画を、純朴な人物が似合うトム・ハンクスと、頭の悪い(今回は熱狂的な)女性が似合うジュリア・ロバーツというわかりやすいキャスティングで娯楽映画仕立てにしています。
先週政治学者の藤原帰一氏の講演を聴いた中で、アフガニスタンについての一番の問題は統治する能力のある政治勢力の不在だ、という指摘がありました。
極端な話軍事政権だろうと独裁政権だろうと、既存の統治のシステムがあれば政治的安定は取り戻しやすいのだけれどそれがない中で一から外国からきた者が組み立てるのは至難の業。(それが今問題になっているのがコンゴの内戦)
アフガニスタンではソ連が侵攻したときも今のアメリカも、現地を統治するために軍閥を使ったものの、軍閥は麻薬栽培などで私腹を肥やすだけで国を統治する能力がなく、結局政権が安定しない。今で言えば地元に根を張ったアルカイダの方が地元住民の支持を得ているということだそうです。
この映画でも結局アメリカは冷戦当時表立って介入できないという事情と、下院の予算措置によるという制約から武器援助にとどまっていて、その結果ソ連撤退後のアフガニスタンの復興への支援ができなかったという示唆を最後のほうでしています(もっとも、実際に当時のチャーリー・ウィルソン氏(実名なのでしょうか?)がそこまで考えていたのかは甚だ疑問ですが。)。
逆に、こういう金を出して援助することで簡単に戦争を遂行することができるという経験がイラク派兵で自国民を派兵することの負担の大きさを見誤った遠因になっているのかもしれません。
映画ではパキスタンの軍事政権との関係(ジュリア・ロバーツ演じるテキサスの極右主義の富豪が接点があり、チャーリーがアフガニスタンに目を向けるきっかけになった)やサウジアラビアが常に米国の予算と同額の援助をしていたことにふれていますが、藤原氏は今のアメリカの中東政策の弱点はイスラム諸国ときちんとしたルートを作っていなかった(親米(軍事)政権だけしか相手にしてこなかった)ことだと指摘しています。たとえばムシャラフ後の現パキスタン政府とはルートがないそうです。
アメリカの外交政策が、「お友達」の国々からだけの情報と、難民キャンプを視察がきっかけでいきなり武器援助を決めてしまうようなナイーブなアメリカ下院議員の影響下にあるとすると少し怖い感じがします。
もっとも日本の外交政策も似たようなものかもしれませんが。
![]() |