一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

元寇、それとも鑑真和上?

2008-11-27 | あきなひ

数日前のエントリで揶揄気味に書いたパシフィックホールディングス株式会社ですが、中国から舟板助け舟が来たようです。

株式会社中柏ジャパンによるパシフィックホールディングス株式会社への資本参加等についての投資契約書の締結に関するお知らせ
(平成20年11月26日)

中柏ジャパンは、中国における大手上場不動産会社等の出資を順次受ける予定である日本法人であり、今回の当社への投融資は、中国政府が奨励する「走出去(ゾウチュチィ)戦略(中国国外への投資を積極的に行うことを意味する)」の一環と位置づけられます。中国の大手不動産会社グループは、中柏ジャパンを通じて当社への出資を行うと共に、協働で不動産プライベートファンドの組成を実施するなど、日本において資産運用事業展開の橋頭堡を築くことを目的としています。

中柏ジャパンの概要及び現況は、上記記載のとおり、平成20年3月に設立され、日本企業及び中国企業の間の資本提携・業務提携の支援に積極的に取組む株式会社経営共創基盤(※)の100% 子会社であります。
同社は、今後中国における大手上場不動産会社等より順次出資を受け、これら一連の取引を実行する予定です。また、将来的には数社から十数社の中国大手不動産会社により出資を受け、出資者らの日本における投資戦略推進の橋頭堡として活動を行う予定です。

※ 株式会社経営共創基盤の概要
代表者 :代表取締役CEO 冨山 和彦
主な事業内容 :人材投入型成長支援事業

中国資本を持ってきたのは元産業再生機構の冨山氏ということで、金の出所が胡散臭いという雰囲気はなさそうです。

資本参加の内容ですが
普通株6.5億1株につき2,288円:今日の終値2,220円をベースにしたのでしょうけど、今日ストップ高というのもなんだか・・・これはSESCの調査が入りそうですね。
普通社債270億これは優先株470億の払い込みに現物出資されるようです
H20年11月期の3Qの純資産額533億円から考えると「買い叩いた」という感じでもなさそうです。
中国企業にとっては500億円弱という金額はちょっと前なら小遣い銭だったでしょうが、今の状況ではどうなんでしょうか。
(また、中国の不動産会社が国内ではなく日本に投資機会を求めてきているというのも別の意味で興味深いものがありますが、話が広がりすぎるのでそれはまた機会があれば考えてみます。)

今後のスケジュールは

平成20年12月19日 本普通株式増資に係る払込期日(予定)
平成20年12月26日 社債引受期日(予定)
平成21年2月26日 定時株主総会にて定款変更及び本優先株式増資決議(予定)平成21年2月27日 本優先株式増資に係る払込期日(予定)

以上すべての払い込みについて「当社がその事業の継続に必要な既存取引銀行のサポートが得られること、割当先に対する資金供与者が中華人民共和国政府から資金拠出に必要な許認可を得ていること等」が前提条件となっています。
それはそうでしょうが、中国当局のスピードからすると普通株式の払い込みに間に合うのでしょうか(水面下で打診していたのでしょうけど)。
よほど大物の「上場不動産会社」なんでしょうかね(太子党関係とか)。


で、このお金で何をするかですが 第三者割当による新株式(普通株式及びA種優先株式)の発行に関するお知らせによると

(2)調達する資金の具体的な使途
本普通株式
上記差引手取概算額の合計649,368,000 円については、当社グループが新規で組成する不動産投資ファンド向け物件の工事代金として充当する予定です。
本優先株式
上記差引手取概算額の合計46,828,380,000 円について、うち約270 億円につきましては、平成20 年12 月末発行予定の社債が現物出資され、払込金の一部に充当される見込です。また、残額約200 億円につきましては、当社グループと新しい事業パートナーが協働で組成を行う不動産投資ファンド向けの物件の取得資金として充当する予定です。

昨日までの状況では「新規で組成する不動産ファンド」などと言っている場合ではなかったのでここをもう少し深読みしてみると
当座の6億円は「当社グループが新規で組成する不動産投資ファンド向け物件の工事代金」という微妙な言い回し(新規で組成するファンドの資金であれば少なすぎるし工事代金以外に土地代金も必要)から、現在開発中でReitに卸せなかったり買手がつかないプライベートファンド物件(=リファイナンスも苦しいので工事代金の資金繰りも厳しかった)の工事代金の支払(の見せ金)にあてて、とりあえず完成させてキャッシュフローをつけたうえで、「当社グループと新しい事業パートナーが協働で組成を行う不動産投資ファンド」に卸す、ということを計画しているのではないかと思います。

ただ、プライベートファンドから新ファンドへの売却というのは利害関係者取引の塊なので、けっこうもめそうですね(投資運用業者としての振る舞いも相当難しそうです)。
そのへん中国の投資家とはどういう話になっているのでしょうか。

このへんについてしばらく注目していきたいと思います。


PS
しかし、関連するJ-Reitのリリース(日本レジデンシャル投資法人 日本コマーシャル投資法人)が一字一句同じというのもなぁ・・・

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少林寺

2008-11-27 | よしなしごと

ちょっと気になっていた一昨日のニュース。
 
少林寺、雲南古刹を委託経営=東南ア進出も視野?-中国
(2008年11月25日(火)16:30 時事通信)  

少林拳で知られる中国河南省登封市の少林寺が、雲南省にある4寺院の委託経営に乗りだすことになった。商業化に成功している少林寺の事業ノウハウを生かし、収益増大を目指す。雲南省を足掛かりに、交流のある東南アジアへの進出を視野に入れているともいわれる。  
25日付の中国紙・北京晨報などによれば、少林寺は24日、雲南省の昆明市官渡区政府と契約に調印。同区にある妙湛寺、法定寺など4寺院の経営管理を委託された。寺院はいずれも2000年の歴史を持つ古刹(こさつ)。年内に僧侶が派遣され、経営陣として常駐する。契約期間は20年。  
信徒からの寄付、宗教用品の売り上げなど経営収入はすべて少林寺の所有となり、4寺院は事実上その傘下に入る。少林寺の釈永信住職は「委託管理は仏教界で珍しいが、少林寺の拡張とか『チェーン化』を意味するものではない」としている。   

中国における宗教の扱いってどうなんだっけと思い「中国の宗教事情」をみると、憲法で信教の自由は保障されているようです。

(第36条)
中華人民共和国の国民は、信教の自由を有する。 いかなる国家機関・社会団体または個人も、国民に宗教の信仰または宗教の不信仰を強制してはならず、宗教を信仰する国民と宗教を信仰しない国民を差別してはならない。
国家は、正常な宗教活動を保護する。
いかなる人も、宗教を利用して社会秩序を破壊し、国民の身体・健康を損ない、国家の教育制度を妨害するなどの活動を行うことはできない。
宗教団体と宗教事務は、外国の勢力による支配を受けない。  

法輪功やチベット仏教問題などは後段のところにあたるということなのでしょうか。上のサイトによると、仏教についても「現在、政府が許可している寺院は13,000か所。」ということなので、どうやら許可制のようです。
でも上のニュースのように政治活動でなく商業活動に熱心ということであれば、政府も文句は言わないのでしょう。


ところで、日本の地名やブランドが中国で関係ない人に商標登録されていることが問題になっていますが、逆に「少林寺」とか「少林寺拳法」は日本でも有名なので商標登録はどうなっているんだろうと思い特許電子図書館で調べてみると、「有限責任中間法人少林寺拳法知財保護法人」という法人がかなりの役務について「少林寺」や「少林寺拳法」かなりの類について商標登録をしていました。

この団体を検索してみると香川県多度津町にある宗教法人金剛禅総本山少林寺のグループに属している法人のようです。
そこのHPの「沿革」を見ると以下のとおり

1947年10月、日本の香川県多度津町の自宅で、宗道臣は教えと技法と教育システムを兼ね備えた「人づくりの行」として、少林寺拳法の指導を開始しました。
1951年、宗教法人法に基づき、金剛禅総本山少林寺を開基。
・・・
2003年、有限責任中間法人少林寺拳法知財保護法人を設立。
2006年、有限責任中間法人SHORINJI KEMPO UNITYに名称変更

商標の出願日は古くは昭和46年あたりのもあるので、商標をまとめて管理するために設立した団体のようです。
創始者の宗道臣氏については 

17歳の時、中国に渡り、大陸を駈けめぐる。その間、縁あって嵩山少林寺の流れを汲む文太宗老師の知遇を得てその門に入り、各種の拳技を修得する。 

ということで元は中国の少林寺の流れをくむようですが、現在では中国の少林寺との関係はないようです。
また、この団体のグループのひとつ少林寺拳法世界連合(World Shorinji Kenpo Organization)のサイトの説明を見ると

Shorinji Kempo, now more than ever, is a martial art to represent Japan. However, among Japan's many martial arts, the history of Shorinji Kempo is very young - only 60 years have passed since its creation.

と日本オリジナルの武道であることが説明され、この少林寺拳法の発祥についても

To construct a world in which everyone could live in happiness, he took the Chinese and Japanese martial arts that he had studied and reformulated them into a single, unique technical structure, thus originating Shorinji Kempo.

と、「和漢折衷」の武術であることが説明されています。
ただ、中国の少林寺との関係は書いていません。

今後中国の少林寺が積極的に海外での事業展開に乗り出すと、もめる可能性は高いのではないでしょうか。
たとえば日本での事業展開の時に既にある商標登録に異議を唱えられたらどうなるのかとか、アメリカなどの第三国の場合はどうなんだろうというのは興味があります。

でも、私の知識レベルを超えているので、今日はとりあえずネタ出しだけで失礼します。

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