おとといのニュースですが
破綻REITのニューシティ、債権者集会で米ファンド案否決
(2009年7月15日 22:01 日本経済新聞)
昨年10月に民事再生法の適用を申請した不動産投資信託(REIT)のニューシティ・レジデンス投資法人は15日、米投資ファンドのローンスターをスポンサー(再生支援企業)にする再生計画案が債権者集会で否決されたと発表した。大口債権者の後押しを受けた大和ハウス工業が系列のREITとの合併計画を対抗案として新たに提出したが、ニューシティ側は9月に再び開く債権者集会でローンスター案の可決をめざす考えだ。
今回の否決を受け、大口債権者側が支持する大和ハウスは、ニューシティが実施する第三者割当増資を引き受けたうえで、系列REITのビ・ライフ投資法人とニューシティを合併させる対抗案を正式に提出した。
ニューシティ・レジデンス投資法人のリリースはこちら
債権者集会の続行期日及び一部再生債権者からの提案に関するお知らせ
しかしながら、本件対案は、現在継続中の民事再生手続において付議された本件再生計画案の変更や再生スキームの本質的な部分を変更するものであり、再生計画案の変更として法的に許容される限度を超えるものとなりますので、再生計画案の変更により本件対案に基づく再生手続を行うことは法的に許されないものと考えられます。また、本件対案は、現在のスポンサーであるローン・スターとの契約が解除されることを前提とした提案であるところ、そのような状況ではありません。
したがって、本投資法人と致しましては、現時点において、本件対案に従った本投資法人の再生は法的にも困難と考えており、再生手続廃止による破産を避けるため、現スポンサーであるローン・スターとの協力のもと、来る債権者集会の続行期日までに債権者のご理解を得るべく努力していく所存です。
倒産手続に詳しいわけではないのですが「ホントかな?」という感じもします。
「再生計画案の変更」としては「法律的に許されない」(=変更というには同一性を欠く?)のかもしれませんが、裁判所の許可があれば再提出までは禁止されてはいないように思います。そもそも債権者も再生計画案を提出できますし。
なので「本件対案に従った本投資法人の再生は法的にも困難」は(「現時点では」という巧みな留保がついていますが)正確ではないように思います。
また、「再生手続廃止による破産を避けるため」というのも飛躍があって、再生計画が可決されないと再生手続は廃止されますが、破産になるには債務超過でなければなりません。
民事再生法250条
破産手続開始前の再生債務者について再生手続開始の申立ての棄却、再生手続廃止、再生計画不認可又は再生計画取消しの決定が確定した場合において、裁判所は、当該再生債務者に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法 に従い、破産手続開始の決定をすることができる。
ところが 資産運用報告書 では、投資法人はまだ純資産がプラスなので、再生手続廃止=破産にはならないのではないかと思います。
(そのとき、投資法人はどういう状態になるのかについてはちょっと興味がありますが。)
現経営陣としてはローンスターの案で行きたいのでしょうが、ちょっと強弁しすぎだと思います。
そう考えて「本件対案は、現在のスポンサーであるローン・スターとの契約が解除されることを前提とした提案であるところ、そのような状況ではありません。」というところをウラく読みすると、ひょっとするとスポンサー契約に違約金条項とかあるのかなと。
物件のフォワードコミットメント(将来の取得の約束)による違約金で民事再生になったのに、ここでまたフォワードコミットメントがあったら笑い話になってしまいますが、さすがに監督委員がチェックしているからそんなことはないんでしょうね。