(何でも「100年に1度」のせいにするのもよくないと思いますけど)「世界金融危機の影響」というのがこんなところまで?
慶応義塾:小中一貫校、開校時期を延期
(2009年7月22日 毎日新聞)
慶応義塾(東京都港区)は21日、横浜市青葉区に11年4月開設を予定していた小中一貫校の開校時期を延期すると発表した。世界的な金融危機の影響で、08年度決算が過去最大の269億円の大幅赤字となったため、大規模事業の見直しを迫られていた。新たな開校時期は未定。 小中一貫校は慶応義塾創立150周年(08年)記念事業の一環で、横浜市から53億円超で購入した約5ヘクタールの敷地に校舎を新設、1学年120人で開校する計画。
赤字の原因は資産運用の損失のようで、
主要私大13校最新決算、大学の資産運用が転機に、評価損計上が続出!
(2009年7月6日 東洋経済)によると、評価損が365億円に達しているそうです。
含み損がいちばん大きかった慶應大は、運用資産1135億円のうち、「伝統資産」と言われる国内上場株式や国内外の債券のほか、ヘッジファンドやREIT、ベンチャーキャピタルなど、「オルタナティブ」と呼ばれる資産を約4分の1保有。
慶應大はオルタナティブ投資の一時撤退や仕組み債購入を今後見合わせることを考えているという。
評価損だけなら株式会社のように配当をするわけでもないので「塩漬け」という方法もあると思ったのですが、デリバティブなどで価値がゼロになって回復しないとか、追い銭が必要なものもあったのかもしれません。
また創立150周年の寄付は2009年3月末で275億円も集まったそうなので(募金の経過報告)、赤字を十分埋められるじゃないかとも思ったのですが、2009年3月までの寄付金は2008年度の収益になっているとすると、寄付がなければ542億の赤字、一方で2009年3月末の評価損365億円ということは、経常の収支がトントンとすれば2008年度に177億円損切り済みということでしょうか。
確かに総資産3692億円のうち現預金が253億円と寄付金額を下回っていますので、既に運用の損切りや上の学校用地の取得などで相当使っちゃってるのかもしれません。
財政の建て直しが急務であることの象徴として記念事業の取りやめというのはアナウンス効果もあるでしょうが、子供のお受験に少しでもご利益があるかと寄付をしたOBからは文句が出そうですね(OBは「新設校」は眼中にないから関係ないのかな?)。