一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

大久保議員の公開会社法草案の講演

2009-11-27 | 法律・裁判・弁護士
TMI総合法律事務所の創立20周年記念講演会「民主党公開会社法プロジェクトチーム事務局長が語る「公開会社法」」に参加させていただきました。

講演は民主党公開会社法プロジェクトチームの大久保勉参議院議員

雰囲気は大久保議員のブログで簡潔にまとめられています。

大久保議員も淡々と、また、法案としての優先度は最上位ではないこと、民主党の支持母体のひとつである連合の意向を反映しているところなどを正直に話していました。
ただ、説明の多くを問題意識とプロジェクトチームの審議の経過に時間を割いた分、逆に各論はこれからのようです。

講演後の質疑が30分以上とこの手のセミナーにしてはかなり盛り上がりました。
中には「ホントに困るんだけど」風な質問・意見もありましたが、この手の話は本当に困るならあまりガチンコで反論すると、関係業界(商事法務などの出版社や弁護士事務所・学者先生など)が盛り上がってかえって立法前提の雰囲気になったりしてしまうしまうので、逆に放っておいたほうがいいような気もしますが。
(出版業界では「会社法バブル」「金融商品取引法バブル」の次は「債権法改正バブル」か「公開会社法バブル」かと期待する向きもあるようで・・・)


大久保議員のブログにもあった「従業員の代表者を監査役会に入れることに関して賛否両論がありました」については、具体的には監査役に就任した従業員の身分はどうなるのか、監査役の任期が満了した場合従業員として復帰できるのかという質問に対しては「重要なご指摘」と素直に未検討であることを認めていました。
確かに監査役の4年間分のキャリアはどうなるんだろう、逆に定年間際の人ばかりになると機能するのかというところは論点としてありますね。


ちなみに監査役になるのは「従業者代表」であって「労働者代表」ではないところがポイントで、別に組合員から選ばなくても、管理職などの非組合員でもいいということなんだそうです。
この辺、前のエントリは誤解があったようです。
一方で連合が監査役候補者を推薦するしくみなどにも言及してましたがこのへんが「配慮」なんでしょう。


また、「社外取締役の独立性を強化し、人数を増やすことには、実務家ならではの色々な指摘が有りました」というところは、上場企業でも新興市場の小さい会社では独立性の要件を満たす取締役を確保できないのではないかという意見がありました。
これに対しては、大久保議員から一定の規模等で要件を緩和する、というアイデアが出されましたが、「公開会社」として資本市場から資金を調達する企業であれば一律に適用するのが本来の筋(法制化するなら、要件を満たせない企業は上場させない、と言うべき)だと思います。


あと、親子上場とか持株会社による代表訴訟の遮断などに対応するために企業集団を基本単位として取り扱うという部分があります。
そして「子会社債権者に、親会社および親会社取締役に対する損害賠償責任を認める」例として、上場企業の子会社を外資(モルガンスタンレー出身の大久保議員が「望ましくない相手」として外資を頻繁に例に出すのがちょっとおもしろかったですが)などに売却されてしまったときに、親会社から転籍した従業員が債権者として損害賠償を求めることができる、というような話をあげていました。

確かに株主代表訴訟を遮断するために会社分割をするような行為は何らかの歯止めをかけたほうがいいと思いますが、従業員を含めた債権者についても親会社を訴える権利を認めるというのは、「公開会社法」の目的とはずれてきているように思います。
会社分割などはそもそも会社法で認められている以上上場企業に限ったことではないにもかかわらず、上場企業(グループ)の従業員や債権者だけに特段の保護を与える理由が乏しいんじゃないでしょうか。
このへんはきっちり詰めないと、かえって企業の上場意欲を阻害しかねないように思います。

※ 最後の部分はボーっとしながら聞いていたので誤解があったかもしれませんのでご承知おきを。
 
コメント
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