一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『新書 沖縄読本』

2011-09-08 | 乱読日記
沖縄関係2冊目

2000年代の沖縄ブームのきっかけをつくった著者たち(ホントにそうだったのかは知りません)が、沖縄の今と歴史を語った21のエッセイ集です。

沖縄ブームのその後、高校野球の強さ、沖縄ポップス、危機に瀕している「長寿県」などから、今の沖縄県民の意識を形作っているさまざまな歴史的な背景についての考察など幅広くカバーしています。

それぞれが沖縄に長い間かかわってきた人の、ブームの後の冷静な視点での批評・分析から沖縄を理解する新鮮な切り口を得ることが出来ます。

特に、さまざまなエピソードから沖縄の人々のアイデンティティの微妙なありようが多面的に描かれているところが印象的でした。

1903年大阪での第5回内国勧業博覧会「学術人類館」での展示においてアイヌや朝鮮民族との対比においてあらわになった「日本人」としてのアイデンティティの微妙なありよう(参照)、本島と八重山の関係、たとえば明治半ばまで本島の旧士族の懐柔のために八重山諸島に対する人頭税が温存されていたこと、米国占領下の二束三文の地代での土地の接収と返還後の地代改定による地主長者の発生、年金制度における「沖縄特例」(参照)など、歴史的な背景が現在に与えている影響については新鮮な発見がありました。


基地問題なども現在の問題の背景を理解するためにも役立つ一冊だと思います。



新書 沖縄読本 (講談社現代新書)

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