一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』

2012-01-04 | 乱読日記

この手の本は「何を書いていないか」の方が気になったりするのですが、書いてある方のことも面白く読めました。

僕が社会に出る前の安宅産業の件や平和相互の合併の話などは改めて参考になりましたし、イトマン関係はおさらいになりました。

ただ、自分も端で関係していたバブル崩壊後の不良債権処理のあたりは、どうしても書いていないことのほうが気になってしまいます。
特にイトマンから切り離した不良債権の受け皿会社方の話とか、本書に書いてある株の益出しや帳簿上の処理だけでなく、担保物件の関係者も含めた最終処理とか系列ノンバンクや資産保有会社の話はスルーしていて、名古屋支店長の射殺事件には言及もしていないというあたりは残念でした。
このあたりは、しゃれにならない部分と、中途半端に書くとまたマスコミに取り上げられるということもあり、スルーせざるを得なかったということなんだと思います。


後半は日本郵政の社長時代についてふれています。
郵政民営化については、実は日本郵政という会社経営の目線からの整理というのは意外となかったように思い、けっこう面白かったです。


西川氏は相当負けん気の強い人のようで、磯田一郎氏や中坊公平氏に対しては人間的に共感するところがあったのか遠慮したのかオブラートにくるんでいますが、大和証券SMBCの件やUFJ信託の騒動、郵政民営化の際の鳩山邦夫氏、それに住友銀行時代から日本郵政社長時代までのマスコミの報道姿勢への批判の舌鋒はなかなかです。
もう少しつっこんでくれたらもっと面白かったのにとは思いますが、そこは「ザ・ラストバンカー」としての品を保ったということでしょう。




コメント
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