『デフレの正体』の藻谷浩介氏の近著(といっても1年前だが)
『デフレの正体』では人口減少の経済への影響を分析したが、本書では、地域経済を中心とした新たな経済活性化の新しいモデルを具体的な事例を紹介しながら問題提起している。
かいつまんで言えば、経済が高度化した結果、資本が自己増殖を目的化してしまい、資源の効率的な配分という機能を特に地域経済では十分に果たさなくなっている。
地域での物々交換やエネルギーの自給、「顔の見える商品」の提供など、地域が「全国区の経済」から自立することが経済活性化のポイントになる、という主張。
「グローバルサプライチェーン」などとものものしく言うが、たとえば枝豆について言えば、中国で作って冷凍加工して船で輸送して物流センターを経由してスーパーの店頭に並んだものとの価格競争をするために、売値から逆算すると物流コストを引いた出荷価格はとても安いものになって、農作物としては生計が成り立たたない、ということが起きるなら、地域で流通させればいいではないか、ということ(枝豆の例が自分で考えたので適切かは不明)。
「農業の6次産業化」が言われているが、そういう既存の流通システムに乗せた「高付加価値化」でなく地元で回す「0次産業化」という道があってもいいと思う。
農業の規制改革で兼業農家が悪者にされているが、確かに戸別所得補償制度の恩恵を受けるためだけの農業生産や相続対策や節税のために「農地」(じつはこの認定基準はあいまいらしい)を維持しているのが問題なのであって、兼業で補助金などなしに成り立つのであればだれも文句は言わない。
本書では岡山県真庭市のバイオマス発電の話も出てくるが、エネルギーについてはローカルでの供給の効率性が認識されつつある。
電気の分野では東日本大震災以降、家庭での太陽光発電の導入が加速されている。これはもちろん固定価格買取制度や補助金の影響も大きいだろうが、長い経路をかけて供給を受けることのリスクも認識されているのではないか。
また、燃料電池やオフィスビルでのコジェネレーション・システムの導入は、BCPだけでなく発電時に発生する熱を熱源として利用することでエネルギーの利用を効率化するという観点からも注目されている。
(以前聞いたのですが、家庭でのエネルギー使用の6割が給湯に使われているそうです。)
本書は「マネー資本主義」へのアンチテーゼ風な書き方になっている(これは共著者のNHK取材班が最近「マネー」を目の敵にしていることの影響かもしれない)が、逆に里山資本主義は「グローバル・サプライチェーン」「全国ネットワーク」の非効率性をついた裁定取引の試みとしてとらえてみるのも面白いかもしれない。
少なくとも、どちらの立場に立っても、統一地方選を前に言い出された「ローカル・アベノミクス」「地方創生」は危ない匂いがすると思うのだが。


『デフレの正体』では人口減少の経済への影響を分析したが、本書では、地域経済を中心とした新たな経済活性化の新しいモデルを具体的な事例を紹介しながら問題提起している。
かいつまんで言えば、経済が高度化した結果、資本が自己増殖を目的化してしまい、資源の効率的な配分という機能を特に地域経済では十分に果たさなくなっている。
地域での物々交換やエネルギーの自給、「顔の見える商品」の提供など、地域が「全国区の経済」から自立することが経済活性化のポイントになる、という主張。
「グローバルサプライチェーン」などとものものしく言うが、たとえば枝豆について言えば、中国で作って冷凍加工して船で輸送して物流センターを経由してスーパーの店頭に並んだものとの価格競争をするために、売値から逆算すると物流コストを引いた出荷価格はとても安いものになって、農作物としては生計が成り立たたない、ということが起きるなら、地域で流通させればいいではないか、ということ(枝豆の例が自分で考えたので適切かは不明)。
「農業の6次産業化」が言われているが、そういう既存の流通システムに乗せた「高付加価値化」でなく地元で回す「0次産業化」という道があってもいいと思う。
農業の規制改革で兼業農家が悪者にされているが、確かに戸別所得補償制度の恩恵を受けるためだけの農業生産や相続対策や節税のために「農地」(じつはこの認定基準はあいまいらしい)を維持しているのが問題なのであって、兼業で補助金などなしに成り立つのであればだれも文句は言わない。
本書では岡山県真庭市のバイオマス発電の話も出てくるが、エネルギーについてはローカルでの供給の効率性が認識されつつある。
電気の分野では東日本大震災以降、家庭での太陽光発電の導入が加速されている。これはもちろん固定価格買取制度や補助金の影響も大きいだろうが、長い経路をかけて供給を受けることのリスクも認識されているのではないか。
また、燃料電池やオフィスビルでのコジェネレーション・システムの導入は、BCPだけでなく発電時に発生する熱を熱源として利用することでエネルギーの利用を効率化するという観点からも注目されている。
(以前聞いたのですが、家庭でのエネルギー使用の6割が給湯に使われているそうです。)
本書は「マネー資本主義」へのアンチテーゼ風な書き方になっている(これは共著者のNHK取材班が最近「マネー」を目の敵にしていることの影響かもしれない)が、逆に里山資本主義は「グローバル・サプライチェーン」「全国ネットワーク」の非効率性をついた裁定取引の試みとしてとらえてみるのも面白いかもしれない。
少なくとも、どちらの立場に立っても、統一地方選を前に言い出された「ローカル・アベノミクス」「地方創生」は危ない匂いがすると思うのだが。