褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 密告(1943) 町全体が疑心暗鬼になる姿を描く

2010年01月12日 | 映画(ま行)
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 僕はフランス映画においては1930年代の映画が好きその頃にフランス映画の監督にジュリアン・デュヴィヴィエ、ジャン・ルノワール、ルネ・クレール、ジャック・フェデーたちの映画には本当に人生の酸いも甘いも感じさせる、そのような映画が好きだったところが、よく考えてみるとあんまり1940年代のフランス映画を観ていないどころか、1940年代のフランス映画の名作と言えば天井桟敷の人々ぐらいしか思い出せない
 よく考えてみれば1940年代と言えば、第二次世界大戦によってフランスナチスドイツの占領下にあったんだ
 そりゃフランスも映画を撮っている場合じゃないねそういう意味では天井桟敷の人々のような名作が生まれたことは奇跡的であり、ある意味ナチスドイツに対抗するレジスタンス映画だったと言える(ちょっとオーバーな表現か?)
 その間前述した1930年代に活躍した監督たちがハリウッドで映画を撮るようになってしまったのも納得できる僕は優秀な監督だからハリウッドに招かれたのかと思ったが、とんでもない思い違いしかし、戦後の1950年代の彼らの映画も観ているけれど、ちょっと失敗作が多いね
 逆に新しい監督が出てきて、さらには1950年代後半からはヌーヴェルバーグと呼ばれる今までのフランス映画にはない独特の感性を持った監督たちが続々と誕生したのも、当たり前の流れだったのかもしれない
 そしてフランス映画の1930年代に活躍した監督とヌーヴェル・バーグと呼ばれる新しい波のあいだに名作を撮りあげた監督にアンリ=ジョルジュ・クルーゾがいる彼の映画では、悪魔のような女恐怖の報酬という2本の映画を観ているけれど、この2本だけでも彼は映画史に残る巨匠と言っても間違いはない
 どんでん返しという映画自体は今では別に珍しくもないが、今の映画のどんでん返しは無理がある
 その点では悪魔のような女は本当に凄い映画だ(シャロン・ストーン、イザベル・アジャーニー主演でリメイクされているけれど、それとは違うので注意を
 そして恐怖の報酬はまさにメガトン級のド迫力ムービー
 僕が今まで観た映画の中で最も手に汗握るハラハラドキドキした映画は恐怖の報酬まさに、迫力満点の映画を作るのにハイテク無用であることを証明した映画この2本の映画は僕が今まで観た映画の中で100位以内に間違いなく入るだろうし、結末がわかっていても何回も観たい映画
 そんなもっと評価されても良いと思うアンリ=ジョルジュ・クルーゾだが、今回はドイツ占領下で撮った密告という映画を観た前述した2作品は戦後の1950年代の作品
 時代的に題名から受けるに何か戦争がらみのスパイ映画みたいな感じかと思いきや、実は戦争とは関係ない
 しかし、ドイツ占領下においてフランス人たちのこの時代の不安な要素が表われている映画だと言えるそれでは密告を紹介しよう
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 フランスの何処にでもあるような町が舞台病院で働く産婦人科の医師のジェルマン(ピエール・フレネー)のもとに”カラス”と名乗る手紙が届く
 その手紙にはジェルマン(フレネー)に対して、同じ病院で勤務する看護婦であり、精神科の部長であるヴォルゼ(ピエール・ラルケ)の妻であるローラ(ミシュリーヌ・フランセス)との不倫を注意するような内容だった
 しかもジェルマン(フレネー)は隣の部屋に住んでいるドニーズ(ジネット・ルクレール)とも愛人関係にある
 やがて病院に入院している青年が自殺した原因は”カラス”と名乗る手紙の内容癌で余命が殆ど無いという文章に絶望した青年は手首を切って自殺した
 しかし、ジェルマン(フレネー)を中傷する”カラス”による手紙は町中に送られるようになる
 この自殺の原因としてローラ(フランセル)の姉であり、ローラ(フランセル)と同じく病院の看護婦をしていたマリー(エレナ・マンソン)が、”カラス”という名を借りた容疑者として逮捕される
 しかし、彼女には決定的な証拠が見付からずに、"カラス”からの手紙は後を絶たない
 町中の人々が誰が”カラス”の正体なのか疑心暗鬼になってしまい、特にその内容はジェルマン(フレネー)に対する誹謗中傷ばかりだ

 そんなときにジェルマン(フレネー)は愛人のドニーズ(ルクレール)の部屋において”カラス”の名前でジャルマンはドニーズを妊娠させたという内容の手紙を見つける
 ジェルマン(フレネー)はドニーズ(ルクレール)が”カラス”の正体だと確信するが・・・続きは映画を観てください
 
 最初は”カラス”からの手紙にジェルマン(フレネー)だけを狙った中傷的な内容が、次第に町全体を巻き込む騒ぎに発展する
 この町の重役たち、病院の役員たちがオロオロする姿に人々の不安感が描かれていた非常にサスペンスタッチの面白い映画を観ることができた
 果たして”カラス”の正体は誰かというのがこの映画の大きなポイントだけれど、またこの犯人探しにおいてドンデン返しの妙を魅せ、そして犯人の正体をなかなか悟らせないアンリ=ジョルジュ・クルーゾの粘っこい演出はこの映画でも観られる
 この映画の出演者たちが、”カラス”は誰かと疑心暗鬼になっていく様子が興味深いけれど、僕もこの映画を観て世の中に対して疑心暗鬼になってしまいそうです本当の"カラス”は誰か?この映画を観て確認してください

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