褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 大地のうた(1955) インド映画の素晴らしさ!

2010年08月23日 | 映画(た行)
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 インドの映画と言えば、手を合わせて首を横に動かす変な踊りとミュージカルというイメージが僕にはある。だけどよく考えたら今までインドの映画と言えば今回紹介する大地のうたしか見たことが無いし、この映画には踊りも歌も出てこない。
 ただひたすらインドの寒村を描いた映画で、その中にインドという国を少し垣間見る事ができる。
 インド映画ではなくてもインドを描いた映画で印象的な作品と言えば最近でばダニー・ボイル監督のスラムドッグ$ミネオリアが挙げられるだろう。
 今や世界的に大都市になっているインドのムンバイにおいて、主人公のサクセスストーリーの中にムンバイのスラム街、宗教、生活を描いた傑作。

 そしてインドの父と呼ばれた男を描いたリチャード・アッテンボロー監督のガンジー
 伝記映画という分野においてこの映画は最高傑作だと思う。まさにインドの独立の父と呼ばれるガンジーだが、独立後も宗教的価値観の違いからインドとパキスタンに分裂してしまったことが、今や現在においても非常に世界的な問題(両国とも核保有国)になってしまっていることにおいて、決してガンジーの望んだイギリスからの植民地を脱した理想国家とは大きく違うことがわかる。

 そして僕のとっておきのインドの神々しさを描いた映画が巨匠ジャン・ルノワール監督の
 この映画こそ自然、あらゆる生物、そして伝統に常に神の存在を意識させられるインドを描いた作品。ストーリー自体は大したことがなくてもガンジス川の映像が素晴らしく、インドという国の奥の深さを感じさせられる映画。是非機会があれば観て欲しい映画です
 そして、このと言う映画の助監督として参加していたのがサタジット・レイ
 今回紹介する大地のうたの監督です

 サタジット・レイ監督が”河”の助監督として参加している時に触発されて作ったのが大地のうただということはこの映画を観て感じる。既に故人になられているがアジアのというより世界的に有名な監督
 正直この映画を初めて観たときは退屈な映画だったインドの寒村の貧しい一家の悲劇的な出来事が淡々と描かれているが、この映画のインド人の考え方を初めて観たときはまるで理解していなかった事がこの映画を興味深く観れなかった原因だろう
 そして再見したこの映画に対する僕が持った感想とは・・・それでは大地のうたを紹介します

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 インドの寒村において、伯母、父、母、娘のドガの4人暮らしの貧しい家族がある。元々は代々地主を務めていた家系だったのだが、今や借金の肩代りに土地を奪われ服も1年に2着買えたらと嘆くくらいの貧乏な暮らしをしている。
 娘のドガは地主の果樹園に行って、度々果物を盗んでいる。娘のドガのおかげで、この家族の評判は非常に悪く、母もドガには厳しく怒るのだが、彼女の盗み癖は直らない
 しかし、年老いた伯母はそんなドガを好きでいたし、ドガも伯母の事が大好きだった。しかし母にとっては伯母は単なる居候の身で、貧しいこの一家には正直金食い虫だ。
 また父は作家になることを夢見てまとまった収入が入ってこない。どうやらこの父のおかげで借金が重なり土地を手放さないといけなくなった。



 そんなときにドガに弟のオプーが生まれる。ドガとオプーは非常に仲が良かった。2人はいつも一緒だったが、ある日列車を見るために遠くへ行くが、その時伯母が死んでしまった。
 そして父は予定していた出稼ぎに行き、まとまったお金を持って帰ってくるはずが、予定していた仕事が無くなり、父からの手紙でまとまったお金を貯めてから帰ると記されていた。
 しかし、父からの手紙は最初のこれっきりで5ヶ月間全く連絡がなかった。借金苦に喘ぐこの一家を優しい眼差しを向けるのは意外にも地主のおばさんだった。

 ドガとオプーが遊びに出掛けると雨が降ってきたドガは雨に打たれ病気になってしまう。そして嵐が襲ってくる。家は崩壊しドガは死んでしまった。あれほど盗みを働いたドガの元に地主も駆けつけ悲しむ。

 そんな嵐が止んだときに父が帰って来た。陽気な表情で帰って来た父だったが、家は崩壊し、家の中には何も無い事に驚き、更に娘のドガが死んでしまったことにショックを受ける

 父は決心した。この寒村を離れ街に出て仕事を探すことをそんな父に村の長老たちは今までずっと住んできた家系だから是非ここに居続けるように説得するが、父にとって今やずっと住んできたこの土地も彼には借金があり、しかも壊れた家を修理する金など無く、この土地に住み続けることは不可能だった

 オプーは家を出るための準備として残っている家具の整理をしていた。彼は高い所にあった茶碗を取ろうとすると、その茶碗には蜘蛛が居て蜘蛛の巣だらけ
 そして、その茶碗の中にかつてドガが盗みの疑いをかけられた手首に付ける飾りがあった。やっぱりドガが盗んでいたことを知ったオプーだったが、彼は近くの小池に投げ捨てる。

 そして父と母とオプーはこの土地を去っていく。そして彼らの居なくなった後の家に大蛇が入っていく。この大蛇はもしかしてドガの生まれ変わりなのか?老い、死、生を静かに見つめたインドのヒンズー教からの悟りである輪廻転生が見事に描かれたこの映画は是非観てください

 この映画には動物がたくさん出てくる。犬は走りまくっているし、猫は何匹も飼われ、そして牛もいるインドではこの生物たちは人間と同じであるか、また神以上の存在なのかもしれない。 
 そして、その考え方は前述した蜘蛛や蛇に対しても同じだ
 
 そしてドガの度々行う地主の果樹園に忍び込んで果物を盗む行いは、地主からの怒りを買い、そして母はドガに対して冷たく当たる。その行為がこの一家を貧乏に苦しめられる原因なのか
 しかし、ドガが死んだ時の地主のこの一家に対する気遣いはとても、自分の果樹園にドガが盗みを働いた時の怒りからは想像できなかった。人間同士の繋がりが見事に描かれたシーン

 冒頭で紹介したという映画でも、家族の幼い息子がコブラに噛まれて死んでしまう
 確かに家族は嘆き悲しむが、やがて母は男の子を産むシーンで終わるが、まさに輪廻転生というインドの考え方を見事に表現されているが、今回の大地のうたでも、生と死が見事に描かれている。
 この映画を最初に観たのはインドに興味の無い学生時代あの頃の僕には輪廻転生なんて言葉の意味も知らないし、たくさん動物が登場していたこともまるで記憶に残っていない。
 僕も大人になって、色々知識が増えてこの映画の良さを知ったようです

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コメント (4)
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