褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ニノチカ(1939) ソビエト連邦を風刺しています

2018年08月18日 | 映画(な行)
 かつて第二次世界大戦において日本は降伏しているのに、わが北方領土を強奪したソビエト連邦と言うヤクザ以上に恐ろしい武闘派大国があった。ソ連の台頭とともにドミノ倒しのように共産党国家が誕生した。しかし、うっかり金持ちになったらシベリア送りにされるような国は流石におかしいと気づいた人が多かったのか、今では少しだけ分裂してロシアという独裁政権型民主主義国家という新しいモデル国家が登場した。しかし、それでも面積の広さは世界一であり、今日においても世界に大きな存在感を示している。
 さて、ソ連とは1917年のロシア帝国時代に起きたロシア革命によって誕生した社会主義国家。それによってロシア帝国では皇帝による専制政治は終わり、階級なんか取っ払って富と財産はみんなで分け合いましょうと言った共産主義が生まれる。
 これぐらいの知識があった方が、面白く見ることができるのが今回紹介する映画ニノチカ。何かとソ連を風刺した笑えるコメディだ。高級なホテルに泊まるだけでもビクビクしている様子が笑えるし、共産主義国家ってどれだけ貧乏が人民に染み付いた国なんだよとビックリさせてくれる。

 さて、フランスの貴族とソ連の共産党員のかみ合わない恋愛が笑える内容を紹介しよう。
 ソ連から3人の男の役人がフランスのパリにやってきた。彼らの目的はロシア革命によって貴族から没収した宝石類を売りさばいて、お金に換えること。やがて迫りくる飢饉に備えようとしていたのだ。
 3人はパリの高級ホテルに泊まり、金庫に持ってきた宝石類を隠すのだが、そこにロシアからパリに亡命していたスワナ大公妃(アイナ・クレア)のスパイが彼らの話をこっそりと聞いていた。実は宝石類はワナ大公妃がかつて所有していたものであり、その話はスパイの知らせによって彼女の耳に入ってくる。
 スワナ大公妃は所有権を主張し、彼女の愛人であるレオン伯爵(メルヴィン・ダグラス)は裁判所等に働きかけ、宝石類の売買をできないようにしていた。
 ある日のこと、ソ連側は3人の仕事が全く進んでいないことを危惧し、お目付け役としてガチガチの共産主義者である女性のニノチカ(グレタ・ガルボ)をパリに送り込む。早速ニノチカはダメダメの男3人組にテキパキと仕事の指示をする。ニノチカはエッフェル塔の建築技術を盗むために道順を模索していたのだが、その時にレオン伯爵と出会い・・・

 最初こそグレタ・ガルボ演じるニノチカはガチガチの共産主義者だったのに、次第に恋の花咲くパリの魅力にハマっていく様子が笑える。
 そしてロシアから亡命した大公妃とガルボが出会って議論をする内容が楽しい。かつてのロシア帝政時代の貴族と今やソ連の共産党員であるニノチカとの意見のぶつかり合い。聞いている俺も少々参考になり、なるほどと思ったりした。こういうシーンを見ると自分と異なる意見を聞くことは大切なんだということに気づく。
 また、この二人はレオンをめぐって三角関係だというのも笑えるし、この二人の言い争いが終わった後にニクイ演出があるのも楽しい。そして本作の良さにウィットに富んだ台詞が多く出てくるのがあり、共産主義国家の駄目さを笑いで表現したいるのも非常に楽しい。昔の映画のコメディは非常に洗練されていて観ていて気持ち良い、熟練した演出を堪能できる。
 往年の大女優であるグレタ・ガルボの名前は聞いたことがある人、エルンスト・ルビッチ監督の演出を堪能したい人、共産主義というのが今は流行らない理由を知りたい人・・・等に今回は映画ニノチカをお勧め映画として挙げておこう。


ニノチカ [DVD] FRT-147
エルンスト・ルビッチ,シグ・ルーマン,メルヴィン・ダグラス,グレタ・ガルボ,アイナ・クレアー
ファーストトレーディング


 監督はエルンスト・ルビッチ。いかにもな洗練された台詞まわし、そしてストーリー運びが印象的な作品が多い。ハムレットの有名な台詞をタイトル名にした生きるべきか、死ぬべきか、マレーネ・ディードリッヒ主演の天使、なんだか救われた気分になれる天国は待ってくれる、そして文通というやり取りがノスタルジックな気分にさせる桃色の店などがお勧めです。

 
 


   
コメント (2)
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