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ソ連が崩壊してしまって以降、その影響下にあった東欧諸国では、まるでドミノ倒しのように共産主義国家が民主主義国家に生まれ変わっていった。そんな状況はハリウッド映画にも大きな影響を与える。軍事アクション映画において仮想敵国はソ連だったのが、ソ連崩壊以降の悪者となるとイスラム原理主義のテロリストであったり、スケールが更にアップして宇宙人だったりする。
ハリウッド映画というところは、馬鹿馬鹿しいほど素っ頓狂な設定のアクション映画を製作する時があるが、現実的な国際問題を取り込んだ知的なアクション映画も存在する。今回紹介する映画レッド・オクトーバーを追え!は米ソ冷戦末期の時代に製作され、当時の二大大国の一発触発の緊張感が漂う軍事アクション映画だ。
当時この映画を観た時は抜群に面白く、知的なスリルと興奮を得られたものだが、今改めて観ると露骨なまでの反共プロパガンダ振りが大いに笑える。そして、共産主義イコール悪という図式が何だかとても懐かしく感じ、ツッコミたくなるシーンが多いのに驚いた。
今やすっかり懐かしい米ソ冷戦を背景にした軍事サスペンスのストーリーとは如何なるものか。
ラミウス(ショーン・コネリー)を艦長とするソ連の原子力潜水艦レッド・オクトーバーが基地を出発し、大西洋を渡りアメリカの東海岸へ向けて出発した。実はレッド・オクトーバーはソ連が開発した完璧な消音装置を付けた優れもの。現段階においてはアメリカ軍の技術を持ってしても静かに潜行するレッド・オクトーバーを探索することは不可能だった。
レッド・オクトーバーがソ連を出発した情報はアメリカ側に入り、CIAの情報分析官であるジャック・ライアン(アレック・ボールドウィン)の元にも届いたのだが、次々とレッド・オクトーバーの不審な行動の情報が入ってくるのに及んで、ソ連及びラミウス(コネリー)の真意を計りかねていた。
一方ソ連のモスクワにおいても、レッド・オクトーバーが不審な行動をしているとの情報が入る。しかもラミウス(コネリー)の真の目的を知ったモスクワ側は、ソ連海軍の潜水艦コノヴァロフの艦長のツポレフ(ステラン・スカルスガルド)にレッド・オクトーバーを撃沈せよとの命令が下る。
アメリカ側はレッド・オクトーバーが本土を攻撃するかもしれないとの予測に立って、原子力潜水艦ダラスがレッド・オクトーバーを待ち構える。
待ち構えるアメリカの原子力潜水艦ダラスと、追いかけてくるソ連の潜水艦コノヴァロフの間で挟まれる状態になったレッド・オクトーバー。米ソの間で緊張感が走るが、ラミウス(コネリー)の真意を理解したジャック・ライアン(ボールドウィン)は、ラミウス(コネリー)との接触を試みるのだが・・・
冒頭のタイトルロゴの表現が面白く、最初から面白さが全快。ショーン・コネリーがとても格好良くて、登場シーンからしてテンションが上がって、大盛り上がり。とっても渋くて、貫禄があり、それでいてチャーミング。とにかく存在感が抜群だ。
潜水艦の追いかけっこが楽しいだけでなく、意表を突いた仕掛けもあり、ちょっとした驚きも味わえるのが良い。
男ばかり登場するので色気が足りない欠点はあるが、逆に骨太な男たちの重厚なドラマが観られるので、必ずしも欠点とばかり言えない。それよりもツッコミどころが目立つ。例えばショーン・コネリーはソ連の軍人という設定なので最初はロシア語で話しているのに、途中からすっかりロシア語を忘れてしまったのか英語でしゃべりまくっているし、作戦自体が万に一つも成功の可能性が無い低い確率。もっとマシな作戦があるだろうと後で冷静になって振り返ると誰もがそう思うはずだ。
そして露骨なまでにソ連を悪者扱いにして、逆にアメリカは素晴らしい!というバカ丸出しのプロバガンダ。今となっては、そんなにアメリカって良い国だったけ?なんてシラケタ気分になってしまう。
他にも色々と挙げればキリが無いが、観ている最中はツッコミどころに気付かないほど面白くて、楽しい映画。俺のように映画感想をブログに書いていたら、次々とツッコミどころが自然に浮かび上がってくるレベルだ。
米ソ冷戦という懐かしい時代背景だが、面白さは今も全く色褪せていない。ツッコミどころが多いのに、なんとなく知性を感じさせる映画。観たことが無い人はもちろん、観たことがある人も再見すると色々なことに気付くお勧めの映画です
監督は本作及びダイ・ハードで知られるジョン・マクティアナン。凄い傑作を連発していますが、個人的には珍作だと思っているジョン・トラヴォルタ、サミュエル・L・ジャクソン競演の閉ざされた森は、意外に面白かったと感じる人が多いような気がします。
実はこの映画は豪華キャスト。ショーン・コネリー以外にも、素晴らしい俳優がたくさん出演しています。
ジャック・ライアンを演じたのがアレック・ボールドウィン。今やすっかり体が大きくなり貫禄がついてしまいましたが、実はこの当時は二枚目スター。実は本作を超えるお勧め映画が無いのが残念。元妻のキム・ベイジンガーと競演したゲッタウェイはオリジナルを観ていない人にはお勧めできるかな?
ショーン・コネリーの片腕的存在でレッド・オクトーバーの副艦長を演じているのがサム・ニール。スティーヴン・スピルバーグ監督のジュラシック・パークで有名になりましたが、他にはピアノ・レッスンがお勧め。他にはSFホラー映画の形態ながらも、現代社会の問題を描き出したデイブレイカーが面白いです。
ダラスの艦長を演じたのが名優スコット・グレン。サイコ・サスペンスの傑作羊たちの沈黙、炎が主役のバックドラフトなど渋いバイプレイヤーとして存在感を発揮しています。
レッド・オクトーバーを追いかける潜水艦コノヴァロフの艦長をステラン・スカルスガルドが演じています、この当時はそれほど有名ではありませんが、今や多くの名作、ヒット作に出演する名優。ラース・フォン・トリアー監督の奇跡の海、ガス・ヴァン・サント監督のグッド・ウィル・ハンティング/旅立ちあたりがお勧め。

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ハリウッド映画というところは、馬鹿馬鹿しいほど素っ頓狂な設定のアクション映画を製作する時があるが、現実的な国際問題を取り込んだ知的なアクション映画も存在する。今回紹介する映画レッド・オクトーバーを追え!は米ソ冷戦末期の時代に製作され、当時の二大大国の一発触発の緊張感が漂う軍事アクション映画だ。
当時この映画を観た時は抜群に面白く、知的なスリルと興奮を得られたものだが、今改めて観ると露骨なまでの反共プロパガンダ振りが大いに笑える。そして、共産主義イコール悪という図式が何だかとても懐かしく感じ、ツッコミたくなるシーンが多いのに驚いた。
今やすっかり懐かしい米ソ冷戦を背景にした軍事サスペンスのストーリーとは如何なるものか。
ラミウス(ショーン・コネリー)を艦長とするソ連の原子力潜水艦レッド・オクトーバーが基地を出発し、大西洋を渡りアメリカの東海岸へ向けて出発した。実はレッド・オクトーバーはソ連が開発した完璧な消音装置を付けた優れもの。現段階においてはアメリカ軍の技術を持ってしても静かに潜行するレッド・オクトーバーを探索することは不可能だった。
レッド・オクトーバーがソ連を出発した情報はアメリカ側に入り、CIAの情報分析官であるジャック・ライアン(アレック・ボールドウィン)の元にも届いたのだが、次々とレッド・オクトーバーの不審な行動の情報が入ってくるのに及んで、ソ連及びラミウス(コネリー)の真意を計りかねていた。
一方ソ連のモスクワにおいても、レッド・オクトーバーが不審な行動をしているとの情報が入る。しかもラミウス(コネリー)の真の目的を知ったモスクワ側は、ソ連海軍の潜水艦コノヴァロフの艦長のツポレフ(ステラン・スカルスガルド)にレッド・オクトーバーを撃沈せよとの命令が下る。
アメリカ側はレッド・オクトーバーが本土を攻撃するかもしれないとの予測に立って、原子力潜水艦ダラスがレッド・オクトーバーを待ち構える。
待ち構えるアメリカの原子力潜水艦ダラスと、追いかけてくるソ連の潜水艦コノヴァロフの間で挟まれる状態になったレッド・オクトーバー。米ソの間で緊張感が走るが、ラミウス(コネリー)の真意を理解したジャック・ライアン(ボールドウィン)は、ラミウス(コネリー)との接触を試みるのだが・・・
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冒頭のタイトルロゴの表現が面白く、最初から面白さが全快。ショーン・コネリーがとても格好良くて、登場シーンからしてテンションが上がって、大盛り上がり。とっても渋くて、貫禄があり、それでいてチャーミング。とにかく存在感が抜群だ。
潜水艦の追いかけっこが楽しいだけでなく、意表を突いた仕掛けもあり、ちょっとした驚きも味わえるのが良い。
男ばかり登場するので色気が足りない欠点はあるが、逆に骨太な男たちの重厚なドラマが観られるので、必ずしも欠点とばかり言えない。それよりもツッコミどころが目立つ。例えばショーン・コネリーはソ連の軍人という設定なので最初はロシア語で話しているのに、途中からすっかりロシア語を忘れてしまったのか英語でしゃべりまくっているし、作戦自体が万に一つも成功の可能性が無い低い確率。もっとマシな作戦があるだろうと後で冷静になって振り返ると誰もがそう思うはずだ。
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監督は本作及びダイ・ハードで知られるジョン・マクティアナン。凄い傑作を連発していますが、個人的には珍作だと思っているジョン・トラヴォルタ、サミュエル・L・ジャクソン競演の閉ざされた森は、意外に面白かったと感じる人が多いような気がします。
実はこの映画は豪華キャスト。ショーン・コネリー以外にも、素晴らしい俳優がたくさん出演しています。
ジャック・ライアンを演じたのがアレック・ボールドウィン。今やすっかり体が大きくなり貫禄がついてしまいましたが、実はこの当時は二枚目スター。実は本作を超えるお勧め映画が無いのが残念。元妻のキム・ベイジンガーと競演したゲッタウェイはオリジナルを観ていない人にはお勧めできるかな?
ショーン・コネリーの片腕的存在でレッド・オクトーバーの副艦長を演じているのがサム・ニール。スティーヴン・スピルバーグ監督のジュラシック・パークで有名になりましたが、他にはピアノ・レッスンがお勧め。他にはSFホラー映画の形態ながらも、現代社会の問題を描き出したデイブレイカーが面白いです。
ダラスの艦長を演じたのが名優スコット・グレン。サイコ・サスペンスの傑作羊たちの沈黙、炎が主役のバックドラフトなど渋いバイプレイヤーとして存在感を発揮しています。
レッド・オクトーバーを追いかける潜水艦コノヴァロフの艦長をステラン・スカルスガルドが演じています、この当時はそれほど有名ではありませんが、今や多くの名作、ヒット作に出演する名優。ラース・フォン・トリアー監督の奇跡の海、ガス・ヴァン・サント監督のグッド・ウィル・ハンティング/旅立ちあたりがお勧め。
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米ソが直接相見えてからもその点はしっかり描かれていますし再見をおすすめします。
誤:合理的
正:非合理的