現役時代の最後の6年間は東京の大手町で働いた。25階建てのビルだったが、私がいたのは24階だった。ビルはお堀端にあったから、皇居の中が良く見える。ビルが建設された当時は、お堀端に高層ビルを建築するのはかなり問題だったそうな。その後、丸の内、大手町界隈にも高層ビルが建築されるようにはなったが・・・。
企業の合併などということは、現代の社会にあっては珍しいことではない。合併によって、社名も変わり、ビルが消滅するのも仕方ないことかもしれない。それにしても、やはり淋しいことだ。ビルの外壁はカナダから特別に輸入したという黒色花崗岩だった。この花崗岩で記念品を作るという企画があったので、私は「マウスパッド」と「ペーパーウエイト」を注文した。そして、それは既に手元に届いている。
ビルの取り壊しが始まったということを聞いてから、早く現場に行ってみたいと思っていたのだが、なかなか行く機会がなかった。今日、別の用件があったので、東京駅から足を伸ばして、ビルの解体現場まで行ってみた。
シートを被ったビルを眺めて、現役時代の辛かったこと、嬉しかったことなどを一度に思い出していた。親しくしていただいた先輩たち、そして同僚も少なからずこの世を去った。過ぎ去った青年時代、壮年時代、そして中年時代、あれは古き良き時代だったかもしれない。
平将門の首塚(仕事の上でなにかまずいことがあった時など、道路を隔てた向かいの「将門塚」へ行ってお祓いをしたことを懐かしく思い出す)