枇杷の葉なし

枇杷の生育や、葉・花芽・種のことを日々の生活のなかで書いていく。

悠紀の彼・3

2023年11月05日 | Weblog
 悠紀が、彼との行動を共にするのは薬草園へ行く時だけ。それも、用事を抱えて行くのに何故かついて来るのだった。就業時間を終えて、外で約束して会うことは今の処皆無だ。悠紀の性格でもあるが、拘束される気がして自分を見失う感も否めない。同僚や上司に誘われないのも、不機嫌な悠紀を知ってだ。

 会社の行事には積極的に参加し、催しを企画したり盛り上げるのは大いに遣り甲斐もある。悠紀にしてみれば、接待客に絡まれたり質問の類に嫌気が差して来る。咲子の言うには、笑顔が足らない上にお世辞一切ないのが原因とそっぽを向かれる。咲子は、ふくよかでえくぼが目につき人当たりも好ましいの。

 悠紀は、言葉使いも標準語の話しで流行りの言い回しはしない。会社での仕事に没頭し、植物の謎に迫り解明するのが本命と心得ている。そうでなく、好みの男性を密かに探す心の余裕はないのもある。お互いが必要とするなら、如何なることが立ち塞がってきても畏れない。勝ち負け云々ではなく自然体よ。

 彼は悠紀に、話しかける態でもなく歩き新種の植物に興味を示す。花の彩にもあるようで、蝶が戯れる様を思わせあちこちと忙しない。悠紀は、これは用心して慎重な行動が佳いと判断した。それに悠紀の感じた想いが、微妙にずれてきていてさざ波から渦巻きへと変化し始めた。彼は、何故現れたのだろう。

 悠紀の真向かいに居る山本君が、小さく折りたたんだメモを書類の上に置いた。あらっ、用件ならパソコンにメールすれば事足りるのに。悠紀は書類を持つ序に、メモを上着のポケットに入れた。ふう~ん、今まで会社の付き合い以外にはなかった…山本君なのにね。今日の予定が無いのも偶然?なのかな。

 長月・下弦・小潮 昨日は曇り、夜間の時雨あり。今朝は快晴となり、図書館まで歩く。朝方には濃霧発生し、日中の気温は平均して25℃。薔薇苗の植え替えや、水遣りに精出す。
コメント (2)
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