季節の移ろいを感じながら、悠紀は外の景色を観るともなしに眺めていた。自宅の周りは、庭木が繁り草花はのんびりと風にそよぐ秋の日だ。家の様式は平屋で、南側に悠紀の部屋があり奥に祖母が住まう。東は両親の居場所でもあり、台所が続く。西と北には風呂場とトイレを設け、樹が囲う造りにしてある。
悠紀は、自分の部屋は必要ないと思えたが「勘弁してもらうわ、幾ら可愛い孫と云えど独りの時間は必要ですもの」祖母は、頑として聴き入れず増設した。その部屋は、地上から可なりの高さを要し天井が全開する。悠紀はそれに気づいて「お祖母ちゃん!これってドーム?」「そうだよ、宇宙と繋がってるの」
祖母の連れ添い、つまり悠紀の祖父は風変りでもあり早くに亡くなっている。写真でしか知らない祖父だが、膨大な土地を持っており相続権は祖母に弁護士を通じ渡された。女性関係も派手で、家に居つく人ではなかったようだ。祖母は息子を守る意味でも、これだけは譲れないと条件を出したと両親から聴いた。
悠紀の仕事も、祖母の口利きで就職できた。高校を卒業しても、自分の進む路が決まらなくしたいことも定まらなかった。庭に植えてある植物に関心が動き、それらの持つ効能にも興味を抱くと「悠紀さん、この方をお訪ねなさい」祖母は名刺を差し出した。面接を受けるでもなく、行った日から今の勤務に至る。
祖母の思惑では数年のことと行かせたものが、既に十年以上を経過し縁にも薄いのが歯がゆさそうだ。植物意外に、悠紀の心を捉える存在はないのもあるが。異性との付き合いそのものに、時間を費やすより薬草の方に気持ちが傾く。それなのに、初めて想えた彼は悠紀の身体をすり抜けて違う世界へ行ったのだ。
悠紀は、自分の部屋は必要ないと思えたが「勘弁してもらうわ、幾ら可愛い孫と云えど独りの時間は必要ですもの」祖母は、頑として聴き入れず増設した。その部屋は、地上から可なりの高さを要し天井が全開する。悠紀はそれに気づいて「お祖母ちゃん!これってドーム?」「そうだよ、宇宙と繋がってるの」
祖母の連れ添い、つまり悠紀の祖父は風変りでもあり早くに亡くなっている。写真でしか知らない祖父だが、膨大な土地を持っており相続権は祖母に弁護士を通じ渡された。女性関係も派手で、家に居つく人ではなかったようだ。祖母は息子を守る意味でも、これだけは譲れないと条件を出したと両親から聴いた。
悠紀の仕事も、祖母の口利きで就職できた。高校を卒業しても、自分の進む路が決まらなくしたいことも定まらなかった。庭に植えてある植物に関心が動き、それらの持つ効能にも興味を抱くと「悠紀さん、この方をお訪ねなさい」祖母は名刺を差し出した。面接を受けるでもなく、行った日から今の勤務に至る。
祖母の思惑では数年のことと行かせたものが、既に十年以上を経過し縁にも薄いのが歯がゆさそうだ。植物意外に、悠紀の心を捉える存在はないのもあるが。異性との付き合いそのものに、時間を費やすより薬草の方に気持ちが傾く。それなのに、初めて想えた彼は悠紀の身体をすり抜けて違う世界へ行ったのだ。