悠紀の背筋に戦慄が走り、右の耳から木屑が噴き出しぼろぼろと零れ始めた。それは床に落ちる前に、消えてしまう。何処に?見えないけれども宙に穴があって、吸い込まれていく。木屑に思える物は吐き出せなかった言葉の数々で、心に溜まり過ぎた物。解放して話せば言葉になるが、云わぬ侭だと不消化だけ。
それがどういう経過で、耳から出て来るのかは説明不可でもあるのは確かなこと。悠紀は溜まってしまった言葉に未練は持たぬとしているが、感情を制御できない時に現れる。彼の結婚への疑問もあり、想いの深さに戸惑う自分を視てしまうのだ。彼に、どんなにか好きだと伝えたく想ったことか悠紀の心は震えた。
山本君の言う、あいつは駄目だには真実も籠められてが分かる。苦労知らずの彼には、老舗の菓子屋の経営は困難そのもので悠紀の力も及ばない領域に違いない気がする。今までしてきた自由とは異次元の生活で、お互いに妥協したりは無理。何事も彼を優先しての生活となるのは明らか、先行き不安が待ち受ける。
それに年齢の差も大きく、彼が申し込んでくれても承知の返事はできない。勇気もなく冷静に判断できたとして、彼に多大な負担を強いる結果は後悔するだろうとの気持ちが動く。悠紀は正直さも素直さも持っているものの、心の片隅へと押し遣るしかなかった。彼は悠紀の何処が好きなのか、不安の方が大きい。
悠紀が彼を好きという想いの中には、見かけではなく誠実さを感じるからで容姿はその次のことだ。何よりも、一緒に仕事をしていて空気の感じがしていた。傍にいてもいなくても、仕事に集中できるのは何よりも遣り易い。これが反対となり、悠紀の方がしていく立場へとなれば自信は揺らぐ一方であるのは確実。
それがどういう経過で、耳から出て来るのかは説明不可でもあるのは確かなこと。悠紀は溜まってしまった言葉に未練は持たぬとしているが、感情を制御できない時に現れる。彼の結婚への疑問もあり、想いの深さに戸惑う自分を視てしまうのだ。彼に、どんなにか好きだと伝えたく想ったことか悠紀の心は震えた。
山本君の言う、あいつは駄目だには真実も籠められてが分かる。苦労知らずの彼には、老舗の菓子屋の経営は困難そのもので悠紀の力も及ばない領域に違いない気がする。今までしてきた自由とは異次元の生活で、お互いに妥協したりは無理。何事も彼を優先しての生活となるのは明らか、先行き不安が待ち受ける。
それに年齢の差も大きく、彼が申し込んでくれても承知の返事はできない。勇気もなく冷静に判断できたとして、彼に多大な負担を強いる結果は後悔するだろうとの気持ちが動く。悠紀は正直さも素直さも持っているものの、心の片隅へと押し遣るしかなかった。彼は悠紀の何処が好きなのか、不安の方が大きい。
悠紀が彼を好きという想いの中には、見かけではなく誠実さを感じるからで容姿はその次のことだ。何よりも、一緒に仕事をしていて空気の感じがしていた。傍にいてもいなくても、仕事に集中できるのは何よりも遣り易い。これが反対となり、悠紀の方がしていく立場へとなれば自信は揺らぐ一方であるのは確実。