仕事がおして、堺に着いた時には昼どきまっただ中。
嫌な予感が的中、まさかの行列が30人以上。
「銀シャリ屋 げこ亭」の飯炊き名人 村嶋孟さん(82)がこの5月いっぱいで引退。
その最後を見届けよう、食っておこうという人で、てんやわんやであった。
ところが、である。
店の若い衆が出てきて、「ここまでで、もうおかずはありません」
と私の位置より10人ぐらい前で切られた。げげっ!
これより後ろに並ばれても、もうご飯とみそ汁ぐらいしかありません。
それでも良い。ここへ来たのは白いご飯が食べたかったからだ。
でも、並んでいるうちに飯はお代わりに、テイクアウトにと出てしまい、
無くなったと言われた。 早々に帰る客もいたが、もう少し並び、
ご主人に、ご挨拶だけして帰ろうとする。
いつの間にか、めし炊き仙人とマスコミに命名されたご主人。
上から下りてきた仙人に、「お疲れさまでした」とご挨拶すると、
ご飯は…おかずは…?と矢継ぎ早に言われたが、何にも残っていない。
めし櫃を引き寄せて、そこにくっついているご飯でおむすび握ってあげる…と相成った。
いやいやいや、そんなつもりで直訴に上がった訳ではない…
行列に並んでいる私が見てたら気分が悪い横入りみたいなもの。
でもぼやぼやしてるうちに、サッサッと握って持たしてくれた。
そうそう堺まで行ける立場でなし、ありがてぇ。
仙人と一緒に撮影してもらおうと、家人を呼ぶと…
何か店内の行列に諦め切れず並んでいて、手が離せぬ様子。 なんぢゃい。
暖簾も仕舞われた店内で、彼女が確保していたのが、これだ!
おでんのこんにゃく…最後の一つ。 ごぼ天は前の男に買われてしまったとのこと。
いやいやいや…奮闘は認めるが、おでんはどうでもいいのであった。
するってぇと、 ジャジャ~~ン!!
おおっ!ぬおおおおお!!!!
ぬかりなく、ごはんを確保しているではないか!
ぢぇぢぇぢぇっ…! あれほど「ない」と言ってたのに、「ある」とは!?
自家製キュウリのぬか漬け、よこわの造りを必死の思いでゲット、
ごぼ天の男が見落とした、最後の生卵2個を見逃さずチャッカリと手にしていた。
アンタはえらい!(小野田さんのお母さんで) 大拍手!! 快哉オジサン!!
こんにゃくはともかく…白ごはんの美味きこと!
なんだろう、咀嚼して飲み込むに至る一連の動作を1ミリたりとも邪魔するものがない。
何のクセも感じない、それでいてふっくらとして、ご飯の持つうま味がジワッと伝わってくる。
お櫃に一旦移すことで、ご飯の水分が見事に飛び、だけど決して固くなっていない。
そのバランスには唸るばかり。
この「ふつうに美味い」ために、仙人どれほどの留意をしているか。
夜食にいただいたおにぎり。 時間もたっているが、
ただの塩むすびがむちゃくちゃ美味い。
というか、すぐテレビ屋というやつぁ、むちゃくちゃだの、うんま!だのとリアクションしてまう。
こいつはよろしくない。
おむすびは、単純過ぎて簡単に出せない味。 ふつうのすごさというものを改めて感じた。
お櫃にひっついた飯粒で、さっさとおむすびを作るのにも驚いた。
仙人、引退してどうするのかというと、飄々と
「私、二階にいますがな」
そないにわ~わ~騒ぎなさんなというところだろう。
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どうも、ありがとうございました