フルートおじさんの八ヶ岳日記

美しい雑木林の四季、人々との交流、いびつなフルートの音

トルストイ「戦争と平和」 上巻 読了

2012-04-06 | 濫読

今朝の空は曇っている。外気温マイナス3度、室温14度、湿度19%

今日から妻が大阪に戻るので、長坂バス停まで送っていく。その後、Jマート、きららで買い物。図書館へ予約しておいた本を取りに行く。ガソリンスタンドでガソリンを満タンにし、灯油を18L、2缶入れると1万円を超えた。ガソリンが値上がりしてきているのを実感する。

午後から、先日の春嵐で倒れてしまった、ウリカエデを処理する。木の根元をみると、腐りかかっていた。それで大風に耐えられなくなって倒れたのであろう。丁度、樹木が重なっているところだったので、上手く自然の力で間引くことができた、ということになる。ウリハダカエデの幹は40センチにカットして薪として使う。森の中を散歩すると、ダンコウバイの蕾が大分ほころんで来た。

そうこうするうちに陽が西の森の中に沈もうとしている。日没は大分遅くなってきて、今日は丁度6時だった。

夕食後は、ポエミのベートーヴェンのピアノソナタ全集をかけながら、トルストイの「戦争と平和」を読む。(中村白葉訳 世界文学全集) 今日でようやく、上巻を読み終えた。

ナポレオンがヨーロッパを席巻しようとしているという国際情勢を背景に、ロシアの貴族の日常生活が綴られる。ボルコンスキー公爵家、ロストフ伯爵家、富裕なピエール、ワシリー公爵とその娘エレン、息子アナトーリ。派手でぜいたくな夜会を初めとした貴族社会の退廃。話は、有名な1805年の「アウステルリッツの三帝会戦」におけるロシア・オーストリアの敗北、アレクサンドル1世に見出された官僚スペランスキーの登場と失脚、ピエールが入会したフリーメイソンの活動などなど。

ロストフ家での、ボルゾイ犬を使った狼狩りの場面が面白かった。恋愛のストーリー展開は、あまりにもあっけなく、なんでこうなるの、といった感じだ。突然のアンドレイ公爵とナターシャの婚約。結婚がアンドレイ公爵の父親の反対で1年の猶予期間が置かれると、その間二人は手紙のやり取りすらしていないのが不思議だ。その間に、遊び人アナトーリに誘惑されるナターシャは、まだ17,8歳とはいえ、子供過ぎる。上巻はこの場面で終わった。

トーマス・マンに影響された辻邦生は、トーマス・マンが「トルストイの退屈に対する不撓な意思」と言ったのを取り上げている。辻邦生は、「『戦争と平和』の描写などは面白さや劇的構成などを無視して、退屈でもなんでも、トルストイはただ書いた、という風に感じた。」と言っているが、まさにその通りだった。はてさて、下巻はどうなるのであろうか。