汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

熱に浮かされた身体

2015年06月17日 | 奇想の詩
熱に浮かされ 身体の深部に湧き上がる 旋律
それは煌きながら 冷めやらぬ 空白の空へと 流れる

揺られめいて 波打つ時間が
揺りかごのように あなたの声を誘う
幽玄なる琥珀の世界に 取り残されて
その熱く微睡む 夢の跡に 月の輝きを添えた

跡形もなく 潰えて行く
総ては 幻のまま 消えて行く 甘い憂鬱に絆されて
その瞳が見つめる この先へと 続く道は
幻想の風に吹かれて 揺れている

指先の覚束ない 感覚に惑わされて
あなたの陰が 虚ろな風に なびいている

その温もりに 触れたくて 伸ばすこの手が
空白の瞬間に 呑み込まれる
砂浜に打ち寄せる波が 震えて 貝殻を流す最中
波打ち際に漂う 人影が こっちを見て 嗤っている

熱に浮かされ 身体の深部から湧き上がる
旋律は 醒めやらぬ 空白の時間を 埋め尽くして行く
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涙の枯れた蒼白の顔

2015年06月13日 | 奇想の詩
愛は宙吊り 寄せ集めの絆に 群がる
群衆の移り変わり 遠くを見る人の表情が 悲しい
止まない雨に打たれて 言葉に窮している
遠くを見る人の陰が 雨雲の渦巻く空に 果てた

涙を流している あなたの表情が
果てしの無い空のように その先が見えない

流れる雨音は 排水口の渦のように
全ての終着の時を 洗い流していく

涙の枯れた 蒼白の顔が あなたのすぐ傍に
それは愛を失った 孤独の表象
全てを洗い流す 蒼白の顔が 語りかける
愛の見失った 心は 形だけの言葉に塗れて
その身体の線が とぐろを巻く 蛇に覆われている

ここは鮮やかなる終焉の場所
あなたの表情が 悲しそうに この手を掴み
空白の時間に向けて 嗤って見せる
一瞬の煌めきが 脳裏にかすめる
ここは 愛に満たされた 鮮やかなる 終焉の場所だと
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薔薇の香りに揺らぐ愛

2015年06月13日 | 妖艶の詩
滑らかな くちづけ 交わす視線
甘い旋律 奏でる唇 瞳を伏せ 身を委ねる
あなたの姿で見えなくなる
この胸の高鳴りは 熱い眼差しに 燻る情愛
もう離さない 鮮やかに散る その瞬間まで
見つめていて 最期の時を彩る
あなたの瞳が 悲しそうに 微睡んでいるから

感じている 涙の流れる訳を
どこまでも深く その指が
身体の奥底に食い込んでくる
あなたを知った その瞬間
薔薇の香り揺らぐ その愛に 息を呑む
言葉の終わりに 塞ぐ接吻

酔い痴れて
あなたの声が 聴こえなくなるまで
いつまでも 一緒に居たい
誘うような香りが 身体の線に沿って 溢れ出す
求め合う度に 退け合う
甘い魅惑の その先へと続く 楽園への扉
行かないで 確かな愛を 感じて
醒めていく夢の 瞬間が来るのが 怖いから
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合理性と死への快楽のエロティシズム 〜理性に緊縛された肉体は絶えず死を希求する〜

2015年06月11日 | 哲学

人間は他者を求めるとき、そこに自分の身体、精神の総てをその他者のイメージの中に投影しようとする。肉体が他者を求める衝動は、絶えず人間の存在を揺るがす。他者を愛するとは、自己の存在を総て、愛する他者の体内に浸透させようとする企てだ。愛の中に融けて行きたいと欲する人間の実存は、まさにその快楽の最中にこそにあるものだろう。しかし人間の輪郭を描く合理性は、絶えず自我の内部に、自己を呪縛する。それでも絶え間ない欲求の中で、自分が壊れてしまう事を恐れるのは、生命体としての秩序を守護するための装置である。

 

それはある意味での死への恐れである。人間は、実存としてではなく、生命の欲求として死を忌避する。生命が生命として秩序を維持するために、人間は人間であり続けようとする。その中での快楽とは、この合理性の世界に縛られた肉体を、その合理性から解き放とうとする思惑なのだ。それは、合理性によって構築されている森羅万象からの逃避の願望なのだ。人間を組織立てるあらゆる細胞の作用は、森羅万象の理を象る合理性の象徴である。人間の存在とは、そのような合理性の荒縄に緊縛された形で成り立つのだ。

 

ときに緊縛された人間に欲情するのも、そこに合理性に縛られた存在としての自己を、そこに投影するからだ。その緊縛され横たわる人間の姿こそ、森羅万象を象る合理性に同じく縛られた、自己の存在をそこに投影できるのだ。またそれがときに美しく想えるのも、そこに対面した自己が、その対象と同一化する事によって、一時的にその荒縄の緊縛から解かれたと感じるからだ。人間は、愛する対象と対面することで、自己の合理性の緊縛を解くことができるのだ。それは空中に浮遊したとき、重力を感じなくなる作用と同じだ。

 

森羅万象を象る合理性は、人間の肉体を締め付けるこの荒縄こそに、妖艶に象徴されているのだ。また荒縄に縛られた人間の姿は、合理性によって秩序立つ森羅万象もまた象徴しているのだ。よって、合理性を解くためのこの快楽こそ、森羅万象の理の世界から解き放たれた、本来の実存と合一化するための方法なのだ。それは人間を愛すること。またそこに合一を希求することもまた、森羅万象を超越する実存へのアプローチなのだ。そしてこの合理性こそは、生命たる人間を形作る生命体の本質をも意味している。

 

しかしその合理性の瓦解してしまった身体は、理性を見失った狂気の世界に引きずり込まれることになる。しかしこの狂気の世界こそは、生命として生存するためだけの生まれ出た肉体を持つことになった事態の所以である。このような狂気の世界は、秩序ある生命として生存している肉体の構造には、それが組み込まれていないのだ。人が狂気に襲われるのは、そこに秩序立つ肉体があるからだ。人間を象る肉体にとって、快楽に溺れ狂気に呑まれる事は、単なるエラーに過ぎない。

 

しかしとうの狂気の世界こそは、その外縁は、人を魅了する妖艶なる皮膜に覆われている。その皮膜は人間を仕向ける芳醇なる香りを漂わせているのだ。がしかし、大抵の人は、その内部には、決して足を踏み入れようとはしないものである。では、その狂気を忌避するのは、生命としての本能なのだとすれば、この世界の生存する人間の実存は、いかなる方策によって存在し得るのだろう。

 

人間は、快楽を求める所に、本当の意味での実存を求める。この合理性の鎖から解かれた瞬間にこそ、自己は燦然と、その実存が輝き始めるのだ。しかし合理性の破滅こそは、すなわち生命体としての肉体の死を意味している。しかし人間は、絶えずこの死の中で、実存の意義を見出そうとしている。死に本当の解放があるのなら、人間は、その死を欲求する快楽の中にこそ、本当の人間としての実存があるのだ。人間は、死への快楽に肉体の輪郭を融かし、その死に触れる瞬間に、本当の人間としての実存を感じるのだ。しかし人間は、そこに禁止の鍵をかけてしまい、それを禁断としてしまったのだ。人間は更にそこに、抑圧の構造を造り出してしまったのだ。

 

人間が人間を愛するとき、自己を形成するあらゆる細胞組織が震えだす。そして確固たる自己は、このとき愛する人間とのイメージの中で融解してしまう。肉体の輪郭が無くなるほどに燃え上がる愛とは、まさに死に触れる体験である。その死の前触れに、全身の細胞はその脅威に怯え、震えるのだ。人間は燃える愛の中に、絶えず死を希求している。愛に満ちる快楽は、合理性の縛られた存在ではなく、そこにこそ合理性から解き放たれた瞬間の芳醇なる実存の姿があるのだ。

 

人間は、森羅万象の理を形作る合理性からの解放を願っている。不意に沸き上がる人間を愛したいという欲望も、それは合理性の荒縄に緊縛された姿からの解放を願ってのことだ。人間が愛すること、その愛に飢えた姿は、きつく緊縛され身動きの取れない状態に苦痛を感じるからだ。人間は人間として肉体として存在していることに窮屈を感じる瞬間がある。ときに縛られた人間が身悶えする姿に興奮するのも、まさに人間の持つ自虐性に根ざす感情によるものだ。どのような人間もすべからず、人間の苦痛に歪む姿を見るのが快楽になることがある。それは、苦痛に歪む人間を見て嗤うことによって、きつく緊縛され、その苦痛に表情を歪めている自己の姿を嗤っているのだ。

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より深い夢へと

2015年06月08日 | 奇想の詩
夜闇に包まれた 夢想の中を一人彷徨う
零れ落ちる水滴 その残響は
より深い夢に溶けて行く

湖底に沈みながら 記憶が朧に霧消して行く中
いつしか生きている心地さえも忘れ
この腕に遺る傷跡を辿る

月明かりの差す静寂の町は
妖艶なる夜風に吹かれ やがてその瞳を閉ざす
瞬く星が 時間と共に流れて
月影の浮かぶ海原へと 辿り着く

流れる涙は 浮かんでは消えて
光が揺れる海底に その足跡を遺す

町を照らす月明かり
暗いトンネルを抜けた その内部には
夜露に濡れた白い花が 咲き誇る

海が満潮を迎える最中
あなたのさめざめと泣く声が
聴こえなくなるまで
眠れぬ夜を過ごす
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降り出した雨

2015年06月06日 | 奇想の詩
湿った空に 流れる風
降り出した雨
その乱れたリズムが
徐々に早くなって行くとき
やがて時間は 形を失してしまう
雨粒に溶けて行く 景色
その雑音に満たされた空間に
花は雨に打たれ 震えている

輪郭を縁取る 雨水
それはあなたの頬に伝う涙
その黒い瞳に触れようと
伸ばした指が
早まる雨脚の雑音に彷徨い
届かない

ぶつかる肩と肩
混ざり合う 傘の色彩が
限りなく小さく 裁断されて
見えなくなってしまう
蠢く色彩の群れが
雨脚の雑音に掻き消されて
意味を見失って行く
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雨の季節

2015年06月05日 | 奇想の詩
瞳に染み渡る 涙の雨が 轍を染める
奏でる喧騒の季節 雨は夢現のリズムを打つ

繰り返し 繰り返し 雨粒に輝く街の影が
渦巻いて 溶けて行く

静かな街の景色は 脈打つ
鼓動のリズムを 繰り返して
雨の季節は あらゆる形を流して行く

あなたは振り返り 微笑みながら
その手は 迷子のように ただ空を切る

行き場を失い 彷徨う雨粒は 夥しい虫のよう

雨空には 暗雲が渦巻いて
街の影を融かしてしまう
雨に打たれ 瞳に染み渡る 街の景色が
手を振り 途方に暮れている
あなたの影を 溶かしてしまう
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あなたの死に顔

2015年06月02日 | 妖艶の詩
夜の闇に染められた 秘密 溢れ出す情動
甘い歌声は 孤独に満たされた 哀愁の旋律
ここはあなたと眠る 最果ての土地

終わりと始まりを繰り返す 愛に飢えた幻
艶やかなる契り 交わす程に 満たされぬ
思惑の渦にはまり 動けないままの 瞳が震えている

あなたとの秘密は 甘い薫りの立ち昇る 言葉の陰に
微笑み合う時が引き裂かれる最中
ただひたすら あなたからの苦痛を求め この身体は哀で焦がれた

抱き締めて この身を剥がす程に 愛おしい
その願いは 闇の中に棲む 幻想
照らす星が 限りなく 遠ざかっていく
この空白を潤す時間は
あなたとの秘密の中で 育まれていく

張り裂けそうな胸の高鳴り
いつまでも傍に居て
涙を流し 見つめる先には すでに息絶えた
薔薇の散った 紅い花弁をまとう
艶やかなる あなたの死に顔
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火焔の華

2015年06月01日 | 妖艶の詩
冷たき頬に 流れる火焔の影 獲物を狙う瞳
色鮮やかに墜ちていく 奈落の底へと
輝く星を満天に散らせながら 身体は熱に蕩ける

愛おしい程に 求めている
狂おしく咲く 花のように錯綜する 迷宮への入り口を
あなたの口で塞いで欲しい
まだ見ぬ終焉は 何処までも昇天する あなたとの楽園

触れて欲しい 愛に火照るこの身体は
もう 何処にも帰れはしないから
ずっと 抱き締めて 満天の星空がいつしか
あなたとの接吻に 溶けてしまうまで

消えて行く 降り出した星空は 幾重もの夢の中へと
愛おしい すべてを胸の内に しまい込んだ
あなたは寂しそうに この穢れた瞳に 問い掛けている

鮮やかな薔薇が散る この手を離さないでと 怯え
見つめ合う最中 紅い花弁の散る火焔は揺れて
その儚い奈落の楽園を照らしている
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