北海道美術ネット別館

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北海道立体表現展’06 (10月26日まで) その1

2006年10月19日 00時10分54秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 道内の29人が出品した展覧会。裸婦や首といった具象彫刻がないだけで、あとは、いわゆる現代美術、彫刻、陶による立体が勢ぞろい。前回よりも大作が多く、やや会場はきゅうくつになったが、その分、コラボレーション的な性格が増して、見ごたえもアップしたと思う。とてもたのしい展覧会なので、ぜひどうぞ。
 公募展に所属している作家もいるけれど、どうも公募展よりこっちのほうに力が入っているみたいだなあという人多数。
 やはり美術館というハコは、作家に力を入れさせるのだなあ、としみじみ感じました。

 初日の昼にギャラリートークがおこなわれ、こちらも前回にくらべ、すごい人数。前回のときとおなじく、ギャラリートークでの作家のことばを引用していきます(なお、要約・まとめによる文責はすべて筆者にあります)。
 長いので、4回にわけて紹介します。

 藤田尚弘尚宏「再生気流」
 2004年に道展協会賞を受け、この展覧会には初出品の若手。オーソドックスな石の抽象彫刻。じゅうぶん大きな作品なのだが、今回はなにぶん周囲がでかいので…。
石で制作しています。みがいたりすると、石はいろんな表情を見せます。今回は、物事は繰り返すというか、振り子や波のような、見えない動きの中にある力みたいなものを表現できたらと思って制作しました。
 
昨年11-12月の個展

 小石巧「風の宿」
 木の存在感がすごい。さしわたし470センチという超大作。
年輪を数えてみたら300年ちょっとたっている木です。木は固いナラで、彫るのには苦労しました。じぶんでは風景画を描いているつもりです。海原であり、草原であり、大地であり、その上に吹いている風を表現している。風景の中には渦巻きや、谷や、丘や、いろんなものがあるけれど、風はひとつで、やさしい目で大地や動物たちを見ている。そんな絵のつもりで作りました。


 荒井善則「Soft Landing to Window」
 インスタレーションに取り組む現代美術作家。
日本とか、東洋ということを考えてつくっています。今回は、中央にある杵(きね)のようなものと、古道具屋で出合ったことが始まりで、これをどうしようかと。どうやって使ったものかはわかりませんが、中央にひもを通してロープを造るものだったらしい。全体の造形は四角い白をベースに、木や紙などいろんな素材を組み合わせて作っています。


 阿部典英「ネェ ダンナサン あるいは 再標」
 阿部典英さんの木彫はユーモアが感じられて楽しい。友好的な宇宙人みたいだ。
トドマツの木ですが、これは本来彫刻にはむいてない木です。たまたたま、切るというので、命を入れたいと思い、もらってきて1年間置いときました。題名は、「ネェ ダンナサン」というのは、立ち止まって見ていただいたらという思いです。「再標」というのは、道しるべで、じぶんも勤め先を定年になって新しい出発ということで、出直しの意味をこめて作りました。


 下沢敏也「faded/43.3”」
 前回は立てていた立体を、今回は床の上に寝かせた。ひび割れが存在感と、時間のようなものをかもし出す。
風化からの再生、朽ちてゆくもの、再生へと向かう力を表現したかったのです。素材は土だけで、白い土を塗って表面の色を変えているところがあります。1230度で、24時間焼きました。とくに今回は、完成度や仕上がりよりも、土と向き合う質感みたいなものを重視しました。


 藤井忠行「流体2006」
 こちらも、木の存在感と、表面の模様の生々しさが迫ってきます。
切り口は、開拓時代につかった鋸(のこ)を、目立てを直して、屋外でひきました。チェーンソーで切るのとは違い、時間はかかりますが、できる面が気持ちいいです。あたたかい陽射しの中でのんびりと鋸をひくのは、幸せな気分でした。この木は、1本の木をドリルですぱっと割っています。材料に対して失礼のないように、手をかけたつもりです。


 國松明日香「秋霖」
 しばらく背の低い作品が続きましたが、今回は80×370×190センチで、ちょっとパーテーションのような形態です。存在感と、軽快さという、相矛盾したものを両立させようとしているように感じました。
(本人欠席のため代読)ことばでしゃべるとイメージが固定化されるので自由に見てほしい。題は秋の長雨という意味ですが、後でつけたものなので、あまりこだわらないですなおな気持ちで見てください。

その2に続く

10月15日(日)-26日(木)9:30-17:00(入場は-16:30)、月曜休み
道立近代美術館(中央区北1西17 地図D

■03年の模様
■01年の模様


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