札幌を拠点とする小磯さんのユニット「ReguRegu」は、毎年暮れにギャラリー犬養で個展を開いています。
フェルトや毛皮で作った巨大なぬいぐるみによる展示で、既発表のものに加え、新作が少しずつ加わっています。
ReguRegu の世界の特徴は、物語性豊かな世界観が背景にあることです。
以前の展示では、テレビ放送がすぐに打ち切られた幻の人形劇という設定で人形を展示し、関連資料の主題歌のレコードジャケット(じつは、ReguReguで作成したもの)なども並べて、信じたまま会場を後にした人がかなりいたようです。筆者も「アナタニサマ」の展示では、当時の小樽の地元紙があまりに精巧に復元されていたので、あやうく信じるところでした。
今回はこういうテキストが会場にありました(原文縦書き)。
会場の手前にはおなじみのロックスターのような名が付いたぬいぐるみが並んでいます。
彼らも、となりのぬいぐるみと目玉が入れ替わっているので、眼窩と大きさが合っていないのが、奇妙な感じです。
奥のほうでは短編映画が上映されています。
満月によりお互いの目玉が入れ替えられて、見える世界がかわってしまったぬいぐるみたちが主人公を演じる、ミュージカル仕立ての人形劇で、たしか8分程度なので、ぜひ見てほしいと思います。
筆者はいろいろなことを考えさせられました。
以下、個人的な感慨なので、賛成・同調していただかなくてもぜんぜんかまわないのですが、筆者は唯物論者なので、目玉が入れ替わろうが、どんな目玉で見ようが、世界は同じだと思うんですよね。
世界は見る人によって変わって見えるのですが、それはおなじ木や空を見ても、ある人は楽しい思い出に結びついて心がうきうきしたり、またある人はつらい記憶がどこかに眠っていて心がざわついたり、その人の感情が、見方を左右するというだけのことだと思うのです。
唯物論というと、なんだか冷たいものの見方だと感じる人がいるでしょうが、筆者は逆に考えています。
感情で見え方は異なっても、基本部分はほとんどみんなが共通しているのだと考えるわけです。
例えば、そこに木があるという事実、それが高さ何メートルのトドマツであるという事実は、人間誰にとっても同じなのです。
その共通している部分をもとに人々は話し合うことができるし、孤独に陥らなくても済むのではないでしょうか。
ついでに言えば、人の視野をつかさどっているのは目であり脳ですが、おそらくわたしたちが考えている以上に、人の感情は手や胴体、臓器などの肉体と結びついていると思われます。だから、SFなどにありそうな設定ですが、脳をすっぽり入れ替えて他人の肉体に移植することに成功したとしても、人格までは移植できないはずです。
といって筆者はべつにReguReguさんの見方を排撃しているわけではありません。
一見、シンプルな童話じたての世界でありながら、実は哲学的な思索を促してくれる、とてもすてきで深い個展だと思いました。
みなさんは、世界はどのように存在していると思いますか?
あなたが目を閉じたら世界全体が消滅してしまうのか。
それともあなたがいなくなっても、世界の存在はそのままにあるのか。
いろいろ考えてみるのも楽しいと思います。
2024年12月11日(水)~26日(木)正午~午後7時、月・火曜休み
ギャラリー犬養(札幌市豊平区豊平3の1)
Instagram : @galleryinukai https://www.instagram.com/galleryinukai/
□ReguRegu http://jurando.web.fc2.com/reguregu/reguregu.html
□twitter : ReguRegu no koiso @reguregu_koiso
過去の関連記事へのリンク
■小樽・塩谷の「がたんごとん」で「佐々木未来作品展 in 小樽 日めくりと私」を見た●2024年10月17日続々
■ReguRegu Exhibition#9「次の日」 (2021年12月15~27日、札幌)
■ReguRegu Exhibition #7「パペトピアへようこそ」 (2018)
■10DAYS CINETOPIA + テンデイズ シネトピア プラス(2017)
■ReguRegu Exhibition #6 人造人間ホーンファミリーの世界 (2016)
■ReguRegu マンドレイクの為の泡のような狂詩曲(2015)
■ぷうちゃんマーチ ReguRegu / 飴屋吉丸 (2014)
・地下鉄東西線「菊水駅」2番出口(マックスバリュ)から約530メートル、徒歩7分
・中央バス「豊平橋」から約290メートル、徒歩4分
※2023年秋のダイヤ改正で本数が激減しています
・地下鉄東豊線「学園前駅」「豊水すすきの駅」から約1.1キロ、徒歩14分
※HOKUBU絵画記念館から歩いて約10分、札幌市民ギャラリーは約14分、ト・オン・カフェから約21分
フェルトや毛皮で作った巨大なぬいぐるみによる展示で、既発表のものに加え、新作が少しずつ加わっています。
ReguRegu の世界の特徴は、物語性豊かな世界観が背景にあることです。
以前の展示では、テレビ放送がすぐに打ち切られた幻の人形劇という設定で人形を展示し、関連資料の主題歌のレコードジャケット(じつは、ReguReguで作成したもの)なども並べて、信じたまま会場を後にした人がかなりいたようです。筆者も「アナタニサマ」の展示では、当時の小樽の地元紙があまりに精巧に復元されていたので、あやうく信じるところでした。
今回はこういうテキストが会場にありました(原文縦書き)。
千年に一度だけ昇る金色の満月。
誰かと一緒に眺めていると、
お互いの見えている世界が
入れ替わってしまうという。
会場の手前にはおなじみのロックスターのような名が付いたぬいぐるみが並んでいます。
彼らも、となりのぬいぐるみと目玉が入れ替わっているので、眼窩と大きさが合っていないのが、奇妙な感じです。
奥のほうでは短編映画が上映されています。
満月によりお互いの目玉が入れ替えられて、見える世界がかわってしまったぬいぐるみたちが主人公を演じる、ミュージカル仕立ての人形劇で、たしか8分程度なので、ぜひ見てほしいと思います。
筆者はいろいろなことを考えさせられました。
以下、個人的な感慨なので、賛成・同調していただかなくてもぜんぜんかまわないのですが、筆者は唯物論者なので、目玉が入れ替わろうが、どんな目玉で見ようが、世界は同じだと思うんですよね。
世界は見る人によって変わって見えるのですが、それはおなじ木や空を見ても、ある人は楽しい思い出に結びついて心がうきうきしたり、またある人はつらい記憶がどこかに眠っていて心がざわついたり、その人の感情が、見方を左右するというだけのことだと思うのです。
唯物論というと、なんだか冷たいものの見方だと感じる人がいるでしょうが、筆者は逆に考えています。
感情で見え方は異なっても、基本部分はほとんどみんなが共通しているのだと考えるわけです。
例えば、そこに木があるという事実、それが高さ何メートルのトドマツであるという事実は、人間誰にとっても同じなのです。
その共通している部分をもとに人々は話し合うことができるし、孤独に陥らなくても済むのではないでしょうか。
ついでに言えば、人の視野をつかさどっているのは目であり脳ですが、おそらくわたしたちが考えている以上に、人の感情は手や胴体、臓器などの肉体と結びついていると思われます。だから、SFなどにありそうな設定ですが、脳をすっぽり入れ替えて他人の肉体に移植することに成功したとしても、人格までは移植できないはずです。
といって筆者はべつにReguReguさんの見方を排撃しているわけではありません。
一見、シンプルな童話じたての世界でありながら、実は哲学的な思索を促してくれる、とてもすてきで深い個展だと思いました。
みなさんは、世界はどのように存在していると思いますか?
あなたが目を閉じたら世界全体が消滅してしまうのか。
それともあなたがいなくなっても、世界の存在はそのままにあるのか。
いろいろ考えてみるのも楽しいと思います。
2024年12月11日(水)~26日(木)正午~午後7時、月・火曜休み
ギャラリー犬養(札幌市豊平区豊平3の1)
Instagram : @galleryinukai https://www.instagram.com/galleryinukai/
□ReguRegu http://jurando.web.fc2.com/reguregu/reguregu.html
□twitter : ReguRegu no koiso @reguregu_koiso
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■ReguRegu Exhibition #7「パペトピアへようこそ」 (2018)
■10DAYS CINETOPIA + テンデイズ シネトピア プラス(2017)
■ReguRegu Exhibition #6 人造人間ホーンファミリーの世界 (2016)
■ReguRegu マンドレイクの為の泡のような狂詩曲(2015)
■ぷうちゃんマーチ ReguRegu / 飴屋吉丸 (2014)
・地下鉄東西線「菊水駅」2番出口(マックスバリュ)から約530メートル、徒歩7分
・中央バス「豊平橋」から約290メートル、徒歩4分
※2023年秋のダイヤ改正で本数が激減しています
・地下鉄東豊線「学園前駅」「豊水すすきの駅」から約1.1キロ、徒歩14分
※HOKUBU絵画記念館から歩いて約10分、札幌市民ギャラリーは約14分、ト・オン・カフェから約21分