北海道美術ネット別館

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■第63回全道展 (6月29日まで)

2008年06月25日 21時30分59秒 | 展覧会の紹介-団体公募展
 創立こそ道展より新しいものの、道内に疎開していた画家を中心に旗揚げされただけあって、そうそうたる顔ぶれで戦後の道内美術史を飾ってきた全道展。
 かつては、北岡文雄、佐藤忠良、本郷新、難波田龍起、川上澄生といった、ふつうなら県展には所属しないであろう大家たちも会員に名を連ねていた。
 その後もいろいろな有力作家が登場したが、彼ら・彼女らがベテランの域にさしかかり、人生の最終章を見据えるころになったのだろうか。会場には、いつの年にも増して、ある種の優しさのようなものが感じられる。
 既成の美術をひっくり返すような過激さや、人生の深遠を鋭くえぐる痛みが満ちる作品よりも、世界や人生を肯定する成熟-といってもいい。
 それは、会員・会友の高齢化が進む構成のゆえでもあろうし、「癒やし」を求める社会の空気の反映でもあるだろう。


 全道展の運営上の課題としては、若手の出品が道展に集中して全体が高齢化していることと、とくに会友の高齢化が目立っていることが挙げられよう。
 ことし、一気に18人が会友から会員に昇格した。新会友は13人。
 新会員の数としては創立以来最高である。また、新会員が新会友の数を上回ったのは、1966年以来42年ぶりだ。
(この年には、神田日勝らが新会員になっている)

 会員のみなさんがいつまでも元気なのはむろん慶賀すべきことなのだが、そのあおりで会員へのハードルが高くなってしまい、いまや全道展の会員になるのは、大半の全国規模の公募展の会員になるよりもむずかしくなってしまった。
 もちろん、単なる滞貨一掃(ことばは悪いけど、ご容赦を)ではなく、一昨年に会友になったばかりの宮地明人(■画像)もいれば、83年に会友に推薦された斉藤隆博もいる。
 現会友の中には、推薦が1970年という人もおり、ここらへんの処遇はなかなかむつかしい問題である。

 もうひとつの問題については、どうも全道展内部にあまり危機感がないような気がするが…。
 まあ、本当に新しい才能なんて、何年かに一度、會田千夏や宮地明人のように登場すれば十分だ-というのも、ひとつの考え方であるには違いない。ことしも、林由希菜の見事な道新賞受賞作(■画像)があった。
 でも、ただでさえ若者の公募展離れが進んでいる一方で、道展が「U21」の開始で攻勢を強めており、今後若手の先細りはボディブローのように響いてくるのではないだろうか。


 人事の話が長くなった。作品については、別項


08年6月18日(水)-29日(日)10:00-18:00(最終日-16:30)、月曜休み
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
一般800円など



・地下鉄東西線「バスセンター前」駅の出口10から徒歩3分


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