会場のカフェエスキスのサイトに「開催にあたって」という文章が載っていました。
すこし長いですが、全文を引用します。
カフェの壁に、平面インスタレーションのようにびっしりと並べた作品を含め、約80点ほど。
すべて、白と黒の世界が広がっています。
それぞれの題名は、たとえば
「白と黒 / A +(B+B' + C + D) E」
などというはなはだ即物的というか記号的なものがついています。
上に引いた、全体的な「見せ方」についてもおもしろいと思うのですが、筆者が驚いたのは個々のつくり方です。
例えばこの作品ですが、白の絵の具を練って、麺のような形状にして、支持体全般に展開させています。
ジェソやモデリングペーストは使っていないそうで、油絵の具そのものに画家の関心があることは明白でしょう。
もう「マチエール」などというなまやさしいものではないと思います。
描写の技法や工夫としての画肌ではなく、絵画を物質・物体として提示しているといってよいでしょう。
平面―画材、というイリュージョンが解体されて、支持体―絵の具がモノとしてそこに現れているのです。
この2点の画像は同一の作品を、角度を変えてとらえたものです。
さすがにこれは絵の具だけでは成立せず、筒状のものを支持体のキャンバスに立たせてそれに絵の具を塗っています。
さらに、絵の具をたくさん盛り付けたため、重みで壁に掛けることができず、置いて展示してある作品もありました。
こうなってくると、もはや「平面ー立体」という区別も、絶対的なものではなくなってきます。いいかえれば、わたしたちの「平面」という認識は単なる約束にすぎず、すべての平面(絵画)は立体であるという現実が、あらためてさらされているともいえそうです。
筆者は過去2度、この画家の個展に足を運んでおり、「青と白の世界」だったカフェエスキスでの前回の個展も見ています。そのときは、出来の良い抽象絵画という受け止め方でしたが、今回はいわゆる抽象絵画の枠を超えた制作になってきています。
もちろん、抽象絵画として見てもそれぞれの完成度はあり、バリエーションにも富んでいるといえそうです。
河野さんは札幌拠点。
2024年4月25日(木)~5月20日(月) 午後0時30分~10時30分(日月火曜と祝日は9時まで)、ラストオーダーは2時間前(ドリンクは1時間前)、水曜と5月7日休み
カフェエスキス(札幌市中央区北1西23)
□Instagram @kohnonahoko
・地下鉄東西線「円山公園駅」5番出入り口から約460メートル、徒歩5分
・同「西18丁目駅」1番出入り口から約570メートル、徒歩8分
・ジェイ・アール北海道バス「北1条西20丁目」から約320メートル、徒歩4分
※ていねライナー、都市間高速バスは通過
・ジェイ・アール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から約460メートル、徒歩5分
※全便が止まります
・ジェイ・アール北海道バス、桑11 桑園円山線(JR桑園駅-円山公園駅ー啓明ターミナル)で「南1条西22丁目」降車、約230メートル、徒歩3分
すこし長いですが、全文を引用します。
ギャラリーや美術館とは異なるカフェの空間では、作品を遠くで見ざるを得ないタイミングが生じます。その生じた距離感を含めて作品(単体として/空間として)にしたいというのが今回の展覧会の出発点でした。近くで見る場合においての作品の「個」として作品のあり方、遠くで見る場合においての「群」としての作品のあり方。また「群」を構成する「個」としての作品としてのあり方、あるいは「個」がかたまった「群」としてのあり方を模索しました。昨年は特に様々な空間での展示機会をいただき、より作品と空間の相互関係に関心を持って展覧会に臨んでいたこともあり、その試みを引き継いだ展示とも言えるかもしれません。
また題について少し触れると、「えんきん」と「おちこち」とでは使っている時代と意味合いに若干の差があります。今は距離感を示すのに使われることが多いですが、昔は現在と将来という時間差においても使われていました。「おちこち(をちこち)」については万葉集にもこの言葉が使われている歌が残されています。言語が曖昧で不確定なものであるのと似たように、アートも定義が曖昧なものと感じることがあります。作品そのものではなく、作品を取り巻く環境や時代、また鑑賞者(あるいは鑑賞者自身の変化)によっても役割が徐々に変化してきたと考えています。現在における芸術の役割とは何か。それについては自分の中でまだ明確になっていませんが、その課題について制作を通して試行錯誤しながら追求していきたいと思っています。
さまざまな遠近から作品を楽しんでいただけると幸いです。
カフェの壁に、平面インスタレーションのようにびっしりと並べた作品を含め、約80点ほど。
すべて、白と黒の世界が広がっています。
それぞれの題名は、たとえば
「白と黒 / A +(B+B' + C + D) E」
などというはなはだ即物的というか記号的なものがついています。
上に引いた、全体的な「見せ方」についてもおもしろいと思うのですが、筆者が驚いたのは個々のつくり方です。
例えばこの作品ですが、白の絵の具を練って、麺のような形状にして、支持体全般に展開させています。
ジェソやモデリングペーストは使っていないそうで、油絵の具そのものに画家の関心があることは明白でしょう。
もう「マチエール」などというなまやさしいものではないと思います。
描写の技法や工夫としての画肌ではなく、絵画を物質・物体として提示しているといってよいでしょう。
平面―画材、というイリュージョンが解体されて、支持体―絵の具がモノとしてそこに現れているのです。
この2点の画像は同一の作品を、角度を変えてとらえたものです。
さすがにこれは絵の具だけでは成立せず、筒状のものを支持体のキャンバスに立たせてそれに絵の具を塗っています。
さらに、絵の具をたくさん盛り付けたため、重みで壁に掛けることができず、置いて展示してある作品もありました。
こうなってくると、もはや「平面ー立体」という区別も、絶対的なものではなくなってきます。いいかえれば、わたしたちの「平面」という認識は単なる約束にすぎず、すべての平面(絵画)は立体であるという現実が、あらためてさらされているともいえそうです。
筆者は過去2度、この画家の個展に足を運んでおり、「青と白の世界」だったカフェエスキスでの前回の個展も見ています。そのときは、出来の良い抽象絵画という受け止め方でしたが、今回はいわゆる抽象絵画の枠を超えた制作になってきています。
もちろん、抽象絵画として見てもそれぞれの完成度はあり、バリエーションにも富んでいるといえそうです。
河野さんは札幌拠点。
2024年4月25日(木)~5月20日(月) 午後0時30分~10時30分(日月火曜と祝日は9時まで)、ラストオーダーは2時間前(ドリンクは1時間前)、水曜と5月7日休み
カフェエスキス(札幌市中央区北1西23)
□Instagram @kohnonahoko
・地下鉄東西線「円山公園駅」5番出入り口から約460メートル、徒歩5分
・同「西18丁目駅」1番出入り口から約570メートル、徒歩8分
・ジェイ・アール北海道バス「北1条西20丁目」から約320メートル、徒歩4分
※ていねライナー、都市間高速バスは通過
・ジェイ・アール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から約460メートル、徒歩5分
※全便が止まります
・ジェイ・アール北海道バス、桑11 桑園円山線(JR桑園駅-円山公園駅ー啓明ターミナル)で「南1条西22丁目」降車、約230メートル、徒歩3分