線翔庵日記



おまつり、民謡、三絃、名水、温泉、酒、そして音楽のこと…日々感じたことを綴ります。

上田獅子

2011年12月01日 19時46分31秒 | おまつり
長野県東信地域には風流系三頭獅子が伝承されている。関東では三匹獅子と言われることが多いが、当地域では三頭(みかしら)獅子とか三ッ頭(みつかしら)獅子と呼ぶ。

上田市では、天正11年の真田昌幸による上田城築城に舞い込まれたという伝承をもつ「上田獅子」がよく知られている。常田獅子房山獅子があり、総称して「上田獅子」と呼ぶ。

当地域でも千曲川左岸の塩田地区には、1頭の雌獅子を2頭の雄獅子が奪い合う「雌獅子隠し」が多いが、千曲川右岸の上田城下の2ヶ所は、その源流とされる真田町の上原三ッ頭獅子とともに、神事舞的なものとなっている。

【常田獅子】

三頭の獅子は、赤い頭だ。また鉦を打つ小天狗がつく。

祢宜とよばれる鼻高面は、大きな団扇をもつ。


【房山獅子】

こちらも黒々としたタテガミに赤い頭。小天狗もつく。

こちらの祢宜は五色の紙をたらした大幣をもつ。


これらの上田獅子は古くから、上田城下の祇園や、上田城の城固めに舞われていたという。これについて、信州のことを取材し記録した井出道貞による『信濃奇勝録』にも、図入りで掲載されている。

このページは常田獅子の図と、房山獅子の獅子唄が記されている。
塩田地区の「雌獅子隠し」とは雰囲気のちがい、祝賀のときにしか出されない。本来は神社に属して、例祭等で行われたようだが、イベントや祝賀行事のみの演舞だ。また、4月中旬の上田市主催の「真田まつり」では、常田と房山で隔年で演じられている。

当地域を代表する三頭獅子は、上田城下の歴史とともに今日まで伝えられている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする