線翔庵日記



おまつり、民謡、三絃、名水、温泉、酒、そして音楽のこと…日々感じたことを綴ります。

柚子の思い出

2011年12月22日 18時34分32秒 | 日々雑感
今日、2011年12月22日は冬至だ。冬至の習俗として、「柚子湯」とかカボチャの「ほうとう」など、いまだに民俗文化として、ウチでも冬至の味わいを残している。また、本日はウチの風呂でも柚子を1個、浮かべてみた。

柚子といえば、天龍村を思い出す。坂部の冬祭で知られた下伊那郡天龍村坂部では、地域おこしとして「ゆべし」作りが盛んだ。これは本来、保存食として柚子の皮の中に、砂糖、胡桃、胡麻などを混ぜた味噌を詰め込み、それを蒸してから乾燥させて仕上げる。「ゆべし」に無くてはならない柚子が、信州の南端・天龍村では植えられているのだ。

冬祭へ行くと、境内の露店で地元の皆さんがおでんやうどんを売ってくださるのだが、そのうどんの薬味に柚子の皮を摺ったものをかけていただく。やはり柚子の香りは、自分のなかでは南信州の天龍村のものだ。

坂部は「熊谷家伝記」で知られる南信州の秘境だ。急峻な傾斜地にへばりつくように集落が存在している。


集落内を歩くと、普通に柚子があった。

坂部だけでなく天龍村の家庭の庭には、柚子があるようだ。


以前、天龍村の祭りについて調べようと、天龍村・平岡で、図書館のある「天龍村文化センターなんでも館」へ行ったことがある。そして、職員の女性に、いろいろ資料についてうかがった。

そして帰り際に、
「兄さん、ちょっと待ってて」
と言われ、しばらくウロウロしていると、何とその職員の方が自宅へ戻って、
「これ持ってって!」
と、買い物袋いっぱいの柚子を渡してくれたのだ。

ご自宅の庭にあった柚子の実なので、大小さまざまの柚子であったが、
「小さいのはお風呂にでも入れればいいニ~」
と、アドバイスしてもらった。

信州でも上田あたりでは、柚子を庭に植えることはない。信州最南端である天龍村あたりでは、こうした柑橘類を育てるんだな…と、その時は、あらためて感じ入った。

冬至の今日、柚子を見て、ふと天龍村の柚子の思い出が、頭の中に浮かんできた。
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