美保関漁港の入り口に立つ常夜灯
美保神社の門前のお土産屋さん
旨そう。
朝起きてテレビをつけるとテレビ体操をやっている。
この番組の特別なファンというわけではない。
テレビ体操をやっていれば見る、という程度のファンである。
聞くところによると、このテレビ体操のファンは大勢いるらしい。
その大部分が定年退職以降の男性らしい。
しかもこの番組のファンは、何かをしながら見るのではなく、テレビの前に座りこんで熱心に観賞するらしいので、どうしたって朝からヒマという人たちに限られる。
画面を見ながら、苦言というか、提言というか、そういうものをブツブツつぶやいたりする。
ときには画面に向かって「この番組はそんなことでいいのかっ」と叫んだりする。
不満なのである。
不満だらけなのである。
テレビ体操は、最初に体操の専門家が出てきて、健康のために毎朝体操をしましょう、というような口上を述べる。
そのあと実際に体操をしてみせる若い女性が三人、一人ずつアップになって紹介される。
「山本さやか(仮名)です」「山田いずみ(仮名)です」「渡辺めぐみ(仮名)です」というふうに、一人ずつ顔がアップされる。
この一人ずつにファンがついている。
この番組のファンは定年退職以降の人が多いから、この一人一人にじじのファンがついていることになる。
AKB48の一人一人にファンがついているようなものだが、こっちのファンはキャーキャー騒いだりはしない。
実際に体操が始まると、三人が全員になる画面と、一人ずつがアップになる画面を交互に映し出す、という構成で番組は進行していく。
一人がアップになる場面はおよそ3秒で、すぐ次の人のアップになる。
この3秒は厳格に守られている。
「山本さやか(仮名)」がアップのときは「3秒では短すぎる」と思い、他の二人がアップのときは「長すぎる」と思う。
「ほかの二人の3秒を1秒ずつ減らして、さやかちゃんを5秒にしろ」と思う。
思うばかりではなく、声に出して叫ぶこともある。
テレビ体操に対する不満はまだある。
三人の体格のことである。
どういう基準で選んだのかしらないが、三人が三人ともまったく同じ体型なのだ。
三人とも脚部長く、細く、胴部くびれ、胸部高くもなく低くもない。
おかしいではないか。
「胸部が高いのはいけないのか」と、こんどは立ち上がって叫ぶ。
「デブはいけないのか、デブも出せ」とも叫ぶ。
「デブの体操も見たいのだ」