人間は喜ぶと飛び跳ねる。
それはそれでいいけれど、何という原始的で幼稚な動作であることか。
お猿さんなんかも喜ぶと飛び跳ねる。
馬なんかもピョンコピョンコ飛び跳ねる。
犬もピョンピョン飛び跳ねる。
ひとしきり飛び跳ねた後ぐるぐる回ったりする。
人間は万物の霊長と言われている。
その霊長が猿や馬や犬と同じ喜び方でいいのだろうか。
もっと霊長にふさわしい、高度で格式ある喜び方ができないものなのだろうか。
人類は四千年にわたる文化の歴史を持っている。
その四千年の間、一体何をしていたのか。
人間らしい喜び方の研究、研鑚、開発、習得のための時間はたっぷりあったはずだ。
四千年経ったいまも、ピョンピョン飛び跳ねたりして四千年前と同じようなことをしているのだ。
どうやら勝利者というものは、とりあえず高い所へ上りたいと思うもののようだ。
ときはあたかも選挙の開票速報。
松江市長と市議会議員の選挙の夜である。
当選した人たちは、まず万歳三唱で喜びを表現する。
バンザイは両手を上方への動きであ。
喜びのあまり、飛び跳ねる人もいる。
落選した人は倒れ伏して、拳で地面をガンガン叩くということもあり得る。
人間の感情を表す動作は「人間は嬉しいと上方への動きになる」。
ついでに言うならば「人間は悲しいと下方への動きになる」という法則がある。
もうひとつついでに言えば、当選した喜びを「ビールかけ」で祝福したら面白いぞ。
お猿さんはいくら嬉しくても、ビールかけはしない。
プロ野球のビールのかけ合いのように、何千本というビールを運びこみビールのかけ合いをする。
非日常の喜びの演出にピッタリ、服を着たままびしょ濡れになって喜びに包まれるのも非日常。
誰かこんな喜びの表現を当選祝いでしないかなぁ、と期待するのであった。