サンドイッチはかじると中の具がはみでる。
特にキュウリ、レタス、トマトなどの野菜類は、パンにはさむと野菜同士が滑ってはみ出す。
マヨネーズ、バター、ジャムはサンドイッチに欠かせないものだが、これらのものは圧迫が加わるとぬめってはみ出す。
はみ出さないまでも、食べているうちに、はさまれている野菜、チーズ、ハムなどの秩序が乱れてきて、ずれる、ゆがむ、入り乱れる。
なにしろサンドイッチの具は、ただ単に積み上げられているだけだから何かあったらすぐ倒れるし、崩れるはずなのだが、それを上から押さえて崩壊をくい止めている。
だからサンドイッチは食べつつも、これらの秩序の崩壊に監視の目を怠ることができない。
もしもこの努力を一切しないで食べ続けたらどうなるか。
おそらく半分くらい食べた時点で、全ての具はパンとパンの間から滑り落ち、足元に散乱していることになるのではないか。
サンドイッチを食べるときは、常に監視を怠ってはならないのである。