こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

コラムちょっと一服

2015年03月16日 09時34分14秒 | 文芸
 定年退職後、時間が出来たので、身の回りを片付け始めた。いろいろ片付けたが、問題は写真の山。何気なしに写真と表示した段ボール箱を開けて絶句した。無造作に詰め込まれた写真、写真…。それも数箱ある!
 とにかく整理を始めた。家庭を持ってから子どもの写真ばかり。デジタルカメラを買い、子どもの成長を記録だと意気込んで撮り、わざわざパソコンとプリンターを購入してL版写真に仕上げた。その枚数が多すぎてとうとう整理がつかなくなり諦めたのを思い出した。
 長男、長女…と四人の子ども別に分類を始めた。ところが、これがまずかった。一枚一枚確かめる写真の中の子供たちに目がとまる。
赤ちゃん、幼児、小学生、中学生…どれもこれも懐かしい思い出が浮かぶ。先日結婚した長女に、遠くで働く息子たち…が、写真の中で笑いかけて来る。もう整理どころじゃない。
 家族のノスタルジアに浸りながら、いつのまにか写真の山に埋もれて眠っていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大人の手記シリーズ・その2

2015年03月16日 00時26分09秒 | 文芸
しあわせは求めよさらば与えられん

 短大一年の時、近くの喫茶店でアルバイトを始めました。
 マスターは三十三歳で独身、そのうえハンサムでした。面接の時から、私が期待を抱いたのも無理はありません。チャンスだと思いました。だって、仲のいい友達はみな、ちゃんと彼氏がいたのに、私だけいなかったのです。
 初日から、挑発的なミニスカートで店に出ました。すると、
「うちは珈琲の味で商売してるんだ。家に帰って着替えてこい!」
 と怒鳴られました。
 それでよくわかったのですが、マスターはカチンカチンの超マジメ。今どき、マジメなんてダサイだけなのに。
 でも、私は店を辞めずに、アルバイトを続けました。結局、短大卒業まで勤めたのですが、その間も、マスターからのセクシャル・ハラスメント(?)はないまま。女の自信も揺るぎそうでした。
「いよいよ短大も卒業だね。春になったら保母さんか、やったな、すごいぞ。今日はお店も早じまいしよう。就職祝いも兼ねて、飲みに行こうか?」
 マスターがやっと誘ってくれたのは、卒業式を終えた日の夜。少し早めに閉店して、近くのスナックへ二人で行きました。
 その夜、お酒が入ったマスターは人が変わったように饒舌になり、早いピッチでグラスを空にしました。そんなマスターの姿は初めて見ました。つられた私もグイグイ呑みました。
 十二時を過ぎ、二人ともフラフラになるほど酔っていました。
「とりあえず店に戻ろうか。タクシーを呼んでやるから、それで帰ればいい」
 ということになり、マスターはやっとのことで酔っ払いの私を店に運んでくれ、冷たい水を用意してくれたりと介抱してくれました。
「しばらく酔いを醒まして、落ち着いたらタクシーを呼んで送ってやるからな」
 寄っているはずのマスターは、やっぱり生真面目な態度を崩さずに、私に接します。でも、私のほうはもう我慢できません。酔った頭を、明日からはアルバイトを辞めるので、これまでのようにマスターの傍におられない危機感(?)が占めています。体中が熱くなりました。欲望は私を大胆にさせます。マスターに抱きつき、彼の口に吸いつきました。
「何するんだ!?」
「好きなの、マスターが大好き!だのに、もう会えないかも知れないなんて。そんなのイヤだ!今夜はメチャメチャにしてほしいの、お願い!」
 マスターの手を取ると、スカートの中へ誘導しました。抵抗する素振りを見せたマスターも、パンストの上から私のあそこに触れた時、遂にマスターの理性もそこまで、変身した彼は激しく反応を見せました。
 荒っぽく、淫らな愛撫でした。本能が目覚めたのです。私が吸い付いた口も、逆に喫われました。客席のテーブルに手をつき、バックから攻撃されました。ピストン運動されると、腰から下がとろけそうなほどです。
「いいぞ。君のは最高だ!」
 深くつきながらマスターがいいます。私も、
「オオーッ、オオーッ!」
 とけだもののような声を上げ、絶頂に達しました。
 このセックスをきっかけに、私たちは鎖を解かれたように求めあいました。マスターは私の職場である保育園に送り迎えをしてくれました。そんな付き合いを続けて三年目に妊娠。マスターに報告すると、喜色満面で、
「君さえよければ、結婚しよう」
 マスターはやはり生真面目にプロポーズしてくれました。一も二もなく、私は頷きました。幸福を掴んだ瞬間でした。マスターは私の夫になったのです。
 幸せな結婚生活。十三歳下の未熟な私を守り精神的にも成長を支えてくれました。
 いま、三人の子宝に恵まれ、優しい夫との暮らし。何もいうことはありません。
「君を面接したときから、本当は惚れていたんだ」
 結婚後、夫はしみじみとした口調でそう告白してくれました。
 短大とアルバイトを両立させた二年間、諦めずにただ辛抱して頑張った事が、私にこれ以上はない幸福な家庭を与えてくれたのだと確信しています。
(週刊テーミス・一九九〇年二月七日号掲載)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする