こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

詩・雨

2015年03月28日 18時26分31秒 | 文芸


ザアーザアー
雨が降っている

こりゃあないよ
予定は中止だ

ザアーザアー
空を見上げて
ふーっと
ため息をつく

また
皮肉を言われるぞ
「雨男」
そんなつもりはないのに

ザアーザアー
雨が降っている
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絵手紙を出すぞ!宣言

2015年03月28日 10時08分59秒 | 日記
春を迎えて気持ちがはやる。寒さで縮んでいた冬よさよ~ならだ。この春はいっぱい絵手紙を描いて、友人に送りつけるぞ。花とか果物、野菜ぐらいしか描けないけど、懐かしさいっぱいの言葉を添えてポストイン!俺は、こんなに元気にやってるぞ!幸せだぞ!これが、その証拠だー!て、この一方的な絵手紙、あいつの心に届くかなあ?
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そのひと言に得したわが人生

2015年03月28日 09時56分54秒 | 文芸
あの一言で得したわが人生

「一人で大変そうやから、アルバイトしたる」
 35年前、初めて自分の喫茶店をオープンし、てんてこ舞いしているのを見かねて、そう申し出たのは高校生の彼女。当時わたしが運営していたアマチュア劇団のメンバーだ。
 30歳になっても独身を貫き(?)まあうだつの上がらない男を気遣った言葉だった。内心ありがた過ぎる申し出を喜んで受けた。授業を終えた足で駆け付けてくれる彼女は強力な助っ人になった。
 おかげでオープンしたての忙しさを切り抜けられたのは間違いない。彼女は短大入学を機に、アルバイトを辞めた。それでも常連客のひとりとして、ちょくちょく来店した。カウンター越しに他愛ない談笑をしているうちに、思い出したように言い出した。
「ひとりもんの男の人って、なんか可哀想で見てられへんやん。よっしゃ、嫁さん候補に友達連れて来たるわな」
 店の経営も落ち着いた3年後、短大卒業を前にした彼女は、そう一方的に宣言!そして数人の同級生を伴って順番に来店、次々と紹介してくれたが、初対面の相手が大の苦手のわたし、それが若い女性だと尚更ダメ。会話は続かない。そんな調子でうまくまとまる道理がなかった。
「もう!だらしないんだから。しゃーないなあ。うちが嫁さんになったるわ!」
 しびれを切らした彼女は、なんと自ら名乗りをあげた。予想もしていなかった私。驚いた瞬間、(彼女とならうまくいく!)と気づいたのである。
 あれから40年近く、子ども4人を授かり、幸せな家庭を築いている。
 さて得したのはどっちになるかな?う~ん、どう考えても、やっぱりわたしなんだろうな。
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小説・ぼくらの挑戦ーそれは(その5)

2015年03月28日 00時09分28秒 | 文芸
「脚本は読んだ?」
「あれはうちらがモデルなんや。前もって先生に話を訊かれたから」
「やっぱり、そやったんやなあ」
「中川先生が上手にまとめてくれはったわ。うちらが言いたい事もちゃんと主張して貰ってる」
「そうや。そうやろ。やっぱりそうやったんや」
「先生に、君らのことを芝居にして舞台でみんなに観て貰わへんか。と薦められた最初は、絶対イヤヤと思うたわ。真治さんのことは触れてほしくなかったの。でも、先生の話を聞いているうちに、それが間違いやと気付いた。真ちゃんに叱り飛ばされる。うちは、うちは、ただ逃げてるだけやって…卑怯者やって、気付いたの。そんなの…真ちゃんに顔向け出来ひんと思うたら、もう居ても立ってもおれんようになってしもた。だから決めたんだ。もう一度、真ちゃんと生きてみようって……!」
 有子は、もう二年前のあの泣き虫だった女の子ではなかった。随分逞しくなっていた。誠悟は言葉を失って、優子を見つめた。
「『君らが苦しみ抜いた姿を、みんなに知って貰わなあかん!差別がどんなもんなんか見せたるんや。その差別による悲しい現実をどないしたらええのんか?それをみんなに考えて貰うんや。君らの体験がその土台になりよる。君の夫として生きた大村くんの無念極まる死を、全く無意味にさせんために点々!』って、先生は懸命に言ってくれはった。それでやっと分かった。うちらは晒しもんになるん違う。差別を克服させるためのだ一歩や。その歩みのために、うちらの体験を生かさなあかんのやと。先生の言う通りやもん。差別、差別って最近さかんに言われてるけど、そんなん上っ面だけ。一体どんだけの人が、それを意識してはるか。そんな人おらへん。あえて知ろうとせんことが、意識せんことが、自分が差別していない証しみたいに思うてるんや、みんな。そんなん間違うてる。絶対許されへん。差別は…みんなの問題なんやから」
 有子は興奮する気配も見せず、ただ淡々と話した。しかし、彼女が心に何か期しているのは、誠悟にもひしひしと伝わった。
差別の拷問に懊悩しながら、ようやく手に入れたささやかな幸せの日々が、結局差別と言う得体の知れぬ化け物の犠牲になった。そんな過酷な試練にあった有子の胸のうちを、いまの誠悟に理解は無理だったが、それでも感じることは可能だった。
「ショウちゃん。うち、もう絶対逃げへんで。みんなに、たくさんの人たちに、差別はみんなの身近にあるんだよって伝えたいの。…だから、この芝居作りに参加する」
「ああ。それでこそ、有ちゃんや」
 誠悟は優子に見詰められて少し狼狽えたが、すぐに立ち直って、有子に頷き返した。
 演出を担当する中川先生は飾りのない言葉でみんなに訴えた。
「このお芝居は、みんなの若さ、純粋無垢な青年の正義感が必要不可欠なんや。悪いことは悪い。いいものはいい。と真っ正直に言い切れる若い力をぶつけてほしい。君らの純粋な正義感と歓声を出し惜しみせんと、観てくれる人たちの心に語りかけるんや。いいかい。ボクは事実をありのままになぞって、この脚本を書き上げた。ここに描いた若い夫婦が遭遇する、差別に起因する悲喜劇は、決して余所事やない。君らが住んでいる、この町で現実に起こったことなんや。」
 中川先生の言葉は、青年たちの心を打った。
「それにしても、君らを見とったら、うん、そらええ舞台が実現すると確信する。みんな一緒に頑張ろうや、なあ」
 中川先生はそう締めくくった。会議室に熱を帯びた歓声と拍手が湧き上がった。
 その熱気が順調に芝居作りへつながるとの安易な楽観は、翌日早くも修正せざるを得なくなった。
 青年団の副団長佐竹は、深刻な顔で誠悟の家を訪れた。夜も遅く、十時を回っていた。
「こない襲うにどないしたんや?佐竹」
 玄関先で佐竹と向き合った誠悟は、妙に不安を覚えた。
 誠悟の次に連合青年団団長と目されている佐竹は、申し訳ないといった表情を隠せないでいる。
「実はな、団長。俺、今度の芝居…参加できんようになってしもうた」
「佐竹…そんな、お前…昨日の今日やで」
「済まん。申し訳ない…この通りや」
 佐竹は唇を震わせて、ただ頭を下げるばかりだった。
(つづく)
(平成6年度のじぎく文芸賞優秀賞受賞作品

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