こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

海水浴

2016年07月08日 00時28分10秒 | 文芸
子供が四人いても、

海水浴に

家族で出かけるのは

ほとんどしなかった。

学校や子供会の海水浴に

親子で参加した時の思い出ばかり。

自営業で

休みがおいそれと取れなかったせいだけではない。

実は父親の私が

全く泳げない『カナヅチ』だったからだ。

 小学校時代、

夏の行事である海水浴が

いやでいやでたまらなかった。

友達がワイワイと

思い切り海水浴を楽しんでいるのを

眺めながら、

形だけ浅瀬で

チャプチャプ過ごす情けなさ。

海水浴は

話題すら口にしたくなくなった。

 一度だけ

家族の海水浴に出かけた。

末っ子がせがんだからだ。

自営業をやめていて、

行けない理由がない。

和歌山の白浜へ向かった。

 さて泳ごうとなったとき、

妻が助けてくれた。

「おとうさん、

海水パンツが似合わないから

持ってこなかったの」

娘に

惨めなおとうさんの姿を

見せずに済んだ。

泳ぎに興じる妻と娘を

砂浜で見守り、

変速の幸せに浸った。

 たった一度の海水浴、

最高の思い出である。
コメント
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