父を誘い市の図書館に向かった。
「おう。きれいに陳列できとるのう」
展示物は父が描いた武者絵の和凧。一メートルの大作もある。倉庫の片隅にしまわれていたものだ。父は九十四歳。「小さいころは絵を描いたり工作が得意やったんたぞ」と、よく自慢話を聞かされた。それを理解したのは遺伝を受け継ぎ創作好きな息子だけだった。
「興味ないもんは誰も分かりよらんわ」
それが口癖だった。相当不満だったのかも。
「図書館で親父の作品、展示したるぞ」
申し出た時、父の相好は思い切り崩れた。
「そんなんできるんかい」「ああ、やれるで」
二か月で作品を整理。父も巻き込み進めた。久しぶりに親子の共同作業、実に楽しかった。
「素敵な作品ですね」「そうかいな。おおけに」
図書館長の言葉に父は喜色満面だった。
「こんなん、もう最後やのう」
父の目が潤んだ。息子の本懐を感じた。
和凧の武者絵が若き父の姿とだぶった。
「おう。きれいに陳列できとるのう」
展示物は父が描いた武者絵の和凧。一メートルの大作もある。倉庫の片隅にしまわれていたものだ。父は九十四歳。「小さいころは絵を描いたり工作が得意やったんたぞ」と、よく自慢話を聞かされた。それを理解したのは遺伝を受け継ぎ創作好きな息子だけだった。
「興味ないもんは誰も分かりよらんわ」
それが口癖だった。相当不満だったのかも。
「図書館で親父の作品、展示したるぞ」
申し出た時、父の相好は思い切り崩れた。
「そんなんできるんかい」「ああ、やれるで」
二か月で作品を整理。父も巻き込み進めた。久しぶりに親子の共同作業、実に楽しかった。
「素敵な作品ですね」「そうかいな。おおけに」
図書館長の言葉に父は喜色満面だった。
「こんなん、もう最後やのう」
父の目が潤んだ。息子の本懐を感じた。
和凧の武者絵が若き父の姿とだぶった。