今日は妻の休日。
居間でうたた寝中だ。
起こすまいと動きも慎重になる。
咳払いすらグッと抑える。
スーパーでサービスチーフの彼女、
毎日てんてこまいしている。
13若い妻は、いまが一番充実しているようだ。
夫のわたしは老いぼれつつあるというのに。
スーパーで最近の若いアルバイトの無責任な行動に、
翻弄されて、休日でも店舗に駆けつけたりと大変だ。
家でシフトを組んだり、指導プランを立てたり、
疲れをためっぱなしなのだ。
そんな彼女と結婚したのは、
彼女が20歳になったばかりの時。
事情(?)が出来て急ぎの結婚式へ突っ走った。
喫茶店を始めたばかりで、
懐事情はカツカツだったが、
そんなことは言ってられない。
「これ結婚指輪や」
渡した指輪はいわくがあった。
六年前、別の女性と結婚直前の解消で、手元に残された指輪だった。
彼女はその事情をよく知っていた。
それに、当時の私が新たな指輪を購入できない経済事情も。
そのうえで、彼女は許して受け取ってくれた。
結婚式はちいさくて古ぼけた神社。
新婚旅行はシーズンオフの京都往復で形だけ。
そして彼女はあの指輪を大事にはめ続けてくれた。
結婚十年目。彼女の誕生日に二人で貴金属店へ。
妻の胸には三人目の赤ちゃんが眠っていた。
上の二人はお留守番である。
「気に入ったものを選びなよ」
「うん。でもいいの」
「大丈夫や。一緒に頑張ったからな」
彼女が選んだのはシンプルなダイヤのエンゲージリング。
十五万円だった。
彼女らしい控えめな選択が頬笑ましかった。
「頑張ったご褒美やから、もっと高いの……」
「いいの。子供やあなたと一緒にいられるだけで」
涙を呼ぶ妻の言葉を聞き、仮の結婚指輪はついに役目を終えた。
あの指輪は、その後どうなったのか?
妻に尋ねたことはないから、まるで見当がつかない。
すやすやと寝入る妻をぼんやりと眺めていると、
彼女の若さとたくましさが、
頼りない私を、
この日まで引っ張り続けてくれたんだなあと
とりとめもなく考えてしまった。
あ?おのろけと勘違いされてしまうかな。(苦笑)
居間でうたた寝中だ。
起こすまいと動きも慎重になる。
咳払いすらグッと抑える。
スーパーでサービスチーフの彼女、
毎日てんてこまいしている。
13若い妻は、いまが一番充実しているようだ。
夫のわたしは老いぼれつつあるというのに。
スーパーで最近の若いアルバイトの無責任な行動に、
翻弄されて、休日でも店舗に駆けつけたりと大変だ。
家でシフトを組んだり、指導プランを立てたり、
疲れをためっぱなしなのだ。
そんな彼女と結婚したのは、
彼女が20歳になったばかりの時。
事情(?)が出来て急ぎの結婚式へ突っ走った。
喫茶店を始めたばかりで、
懐事情はカツカツだったが、
そんなことは言ってられない。
「これ結婚指輪や」
渡した指輪はいわくがあった。
六年前、別の女性と結婚直前の解消で、手元に残された指輪だった。
彼女はその事情をよく知っていた。
それに、当時の私が新たな指輪を購入できない経済事情も。
そのうえで、彼女は許して受け取ってくれた。
結婚式はちいさくて古ぼけた神社。
新婚旅行はシーズンオフの京都往復で形だけ。
そして彼女はあの指輪を大事にはめ続けてくれた。
結婚十年目。彼女の誕生日に二人で貴金属店へ。
妻の胸には三人目の赤ちゃんが眠っていた。
上の二人はお留守番である。
「気に入ったものを選びなよ」
「うん。でもいいの」
「大丈夫や。一緒に頑張ったからな」
彼女が選んだのはシンプルなダイヤのエンゲージリング。
十五万円だった。
彼女らしい控えめな選択が頬笑ましかった。
「頑張ったご褒美やから、もっと高いの……」
「いいの。子供やあなたと一緒にいられるだけで」
涙を呼ぶ妻の言葉を聞き、仮の結婚指輪はついに役目を終えた。
あの指輪は、その後どうなったのか?
妻に尋ねたことはないから、まるで見当がつかない。
すやすやと寝入る妻をぼんやりと眺めていると、
彼女の若さとたくましさが、
頼りない私を、
この日まで引っ張り続けてくれたんだなあと
とりとめもなく考えてしまった。
あ?おのろけと勘違いされてしまうかな。(苦笑)